山中 拓磨
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この記事は、選手紹介MF編その1の続きとなっています。
また、もしよければ時間があるときにでも
メスト・エジルの特徴・プレースタイル
海外サッカーファンには説明の必要もないであろう、現状世界最高のトップ下との呼び声も高いドイツ代表の10番を背負う男。
2012年に天下のレアル・マドリードからアーセナルへとやってきた。当時はようやくエミレーツスタジアム建設の借金がひと段落し、やっとアーセナルが少しずつ資金を自由に使えるようになってきたころであり、クラブ最高額移籍金記録を大幅に更新する移籍金での獲得となった。
は四位争いが定位置となっていたアーセナルが、レアル・マドリードから戦力外の選手などではなく主力選手の一人を買ってきた事件は世界中のアーセナルファンを歓喜させた。
Embed from Getty Imagesプレースタイルとしては、今や絶滅危惧種になりつつある典型的なトップ下タイプで、試合から消えていたかと思うと突然現れ一本のパスでスタジアムを魔法にかける。
TV画面で見ていても見つけ出せないようなコースに通す決定的なロングスルーパスや、地面にバウンドさせて相手GKの読みを外すボレーシュートなど、意外性あふれるプレイを数多く見せてくれる正統派ファンタジスタ。そこまでクローズアップされないが、実はクロスも相当上手い。
先日エリック・カントナやベルカンプ、セスク・ファブレガスといった面々を抜き去って史上最速となるプレミアリーグ141試合での50アシストを達成した。
運動量や監督の戦術を忠実に遂行する能力も兼ね備えており、昔ながらのプレイメイカーがドイツ仕込みの育成を経てモダンフットボールとの融合を高い次元で成し遂げた稀有な選手と言える。
ラムジーと同じくアーセナルを象徴するような選手で、うまくはまれば凄まじいものの、ボールを持たせてもらえず行方不明になってしまうような日もあり、気迫が足りない、守備に難があるなどなど、批判を浴びることも多いが、
この選手がプレイするのを見るためにスタジアムを訪れる価値があると思わせてくれるような数少ない選手の一人。
アーセナルの公式ツイッターアカウントを軽くしのいでプレミアリーグの選手ナンバーワンのフォロワー数を誇り、しかも気軽にファンとオンライン上で交流したりと、チームの非公式広報部長も兼任。
ヘンリク・ムヒタリアンの特徴・プレースタイル
契約切れ間近となっていたアレクシス・サンチェスと交換での移籍という形でマンチェスター・ユナイテッドからこの冬(2018年1月)にやってきたアルメニア人MF。
ドルトムントでの実績は素晴らしかったものの、マンチェスター・ユナイテッドでは苦戦していたことから若干サポーターからは懐疑的な目で見られていた。
だが、ふたを開けてみれば、移籍直後から絶対的なスタメンの座をつかみ取り、最初の10試合で2ゴール5アシストと大暴れ。ユナイテッドで苦戦気味のアレクシスとは対照的で、アーセナルファンをほくそえませることとなった。
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エジルが正確無比なパスを連発、という感じなのに対して、比較的強引にでもシュートやチャンスと見れば積極的にパスを狙っていくスタイルで、それが数字での貢献に現れているといえる。体をぶつけられながらでもきちんと精度を落とさずボールを出せるフィジカルを備えているのもプレミア向き。
これからエジルやラムジー、ラカゼットといった面々と連携が深まっていくにつれてどこまでの活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみ。
アレックス・イウォビの特徴・プレースタイル
以前ほど育成が得意ではなくなった、といわれることも増えた近年のアーセナルだが、そんな中ベジェリンと共に彗星のごとく現れた、ユースチーム上がりのナイジェリア人MF。フランクフルトやPSG、ボルトンなどでプレイしたナイジェリアの英雄オコチャの甥。
台頭した2015/16シーズンには、典型的なベンゲル監督流の采配で、ほとんどファーストチーム経験がない状態でいきなりバルセロナ戦の先発メンバーに選ばれ、ヨーロッパを驚かせた。
それ以降、アーセナルの若手によくありがちなように、若干伸び悩んでいる感は否めないが、まだ21歳という年齢を考えれば、アーセナルでの実績も国際舞台での実績も十分といえる。
Embed from Getty Images本当のところはトップ下をやりたそうなのだが、そこはエジルが立ちふさがっているため、アーセナルでは基本的にサイドでプレイすることが多い。
丁寧なタッチとプレミア仕様のフィジカル&スピードをバランスよく兼ね備えており、パスの供給役、あるいは走りこんでそれを受ける役に偏りがちな攻撃陣の中で、数少ない、というかほぼ唯一のドリブルでボールを運べる選手。(意識や指示次第でムヒタリアンがこなせそうな気もするが。)
そのため、最近は好不調に関係なく起用され続けることが多く、チームがうまくいかない時には怒りの矛先が向けられることも多い。
現状同じことをできる選手がチームにおらず、もちろんとても貴重な選手なのだが、ファイナルサードでの貢献には課題が残り、技術というよりも判断に少し難アリ。シーズン30試合程度出場しているにもかかわらず、数ゴール数アシストしか記録できないという成績がそれを物語っている。
華麗なパス回しからペナルティエリアに侵入していって、何故か最後のパスをあらぬ方向に出してしまい、ダッシュで帰ってくる姿が時々見られる。
そしてそのたびにエジルを苛立たせがち。
ちなみに、イングランドで生まれ育っているためユース時代はイングランドU-19代表として選出されており、アーセナルでトップチームデビューを果たしたころにはまだイングランドとナイジェリア代表両方の可能性があったのだが、何故かイングランド代表U-23世代での選出をためらっている間にナイジェリアA代表デビューを果たしてしまった。
本人曰く、『ナイジェリア国歌は、カメラが寄ってきた時に歌えてないってばれないくらいには歌える。』
サンティ・カソルラの特徴・プレイスタイル
ディアビ、ロシツキー、ウィルシャーやラムジー、ウェルベックといったアーセナル長期離脱者列伝にその名を連ねることとなってしまったスペイン人MF。愛称はリトル・マジシャン。
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元々ビジャレアルでの大活躍を経てマラガに移籍した選手であったが、そのマラガが経営難に陥り、実績やその後の活躍を考えると格安の移籍金でアーセナルにやってきた。
当初は最近よりも前のポジション、特に左サイドで起用されることが多く1シーズン目から、チームのトップスコアラーであったウォルコットの14得点と二つしか変わらない12得点を挙げるなど大活躍だった。
サイドやトップ下でも既に素晴らしい選手だったのだが、メスト・エジルがアーセナルにやってきたのを機に3列目へと移り、このポジションで真に花開くこととなる。
その重心の低いドリブルでボールを運べば全く奪われず、ボールタッチは誰も並ぶ者がないほど正確、プレスを2,3人かわすのはお手の物、前線まで上がっていけばスルーパスまで通す、と、獅子奮迅の活躍を見せ、華やかなラストパスを出すエジルに注目が集まりがちだったが本当の意味での攻撃の中心はカソルラ、という声も多く聞かれていた。
カソルラとペアを組んでいた時期、フランシス・コクランはアーセナルの救世主と崇め奉られていたが、彼が離脱した途端にビルドアップと攻撃面での能力の限界が露呈しチーム内での地位を失っていったのが象徴的だった。
色々な点で優れたMFだが、その中でも特筆すべきはその利き足とテクニックだろう。一応は右利きと本人は言っているらしいが、セットプレイも右足左足両方でこなすなど、普段のプレイを見ていてもどちらが利き足なのかわからないほど左足も使える。
また、エジルやサンチェスといったメンバーを揃えていたアーセナルにおいても、選手のチームメイトに関するインタビュー企画では『最もテクニックが優れている選手は?】という質問で名前を挙げられるのはきまってカソルラであり、同業のプロサッカー選手から見てもその技術は抜きんでているようだ。
足首の怪我によりここ2シーズンは練習参加すらできておらず、本当に悲しいことに、そろそろこのまま引退の二文字もちらつきつつある。仮に公式戦で復帰がかなわないとしても、もう一度だけでもアーセナルのユニフォームにそでを通したカソルラのトレードマークの笑顔を見ることは世界中のアーセナルファンの願いだろう。
リース・ネルソンの特徴・プレイスタイル
大体数年に一人くらいのペースで現れるアーセナル名物、”ユースアカデミーの期待の星”枠の攻撃的MF。今なお燻るウィルシャーをはじめとして、ジョン・トラル、ルネ・アデレードやジュディオン・ゼラレムなど前任者たちは死屍累々といった感じで横たわっているのだが、久しぶりにイウォビがファーストチームへの道を切り開き、そのあとに続けとばかりに先日プレミアリーグデビューを果たした。
契約延長交渉の滞りを受けてレアルマドリードやPSGといったクラブからの興味も報じられており、もしかすると今度こそは本物なのか・・・!?とも思わせるが、如何せんトップチームでの出場がまだほとんどなく、U-23レベルで無双していても上がると鳴かず飛ばず、という例は数え切れないほどあるので正直まだ何とも言えない。
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だが、少なくともベンゲル監督は夏に攻撃陣の補強はしない、と断言しており、一見サイドの選手が少し足りないように見えるので、ワシはネルソンを使って育てるんや!という意気込みでいるようだ。
”将来を嘱望される””未来のスター”枠はほぼ毎回本職トップ下だがポジションがなくサイドで使われる、というパターンなのは何故なのだろう。クラブハウスにキャプテン翼でも置いてあるのだろうか。