山中 拓磨
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アーセナルのDF陣の
プレースタイルや特徴を解説。
この記事は、監督&GK編の続きとなっています。
ローラン・コシェルニーのプレースタイル・特徴
Embed from Getty Images近年崩壊しがちなアーセナルの守備だが、その中で数少ない頼りになるDFの一人。4バック時には左側のCB、3バック時には右CBを務めることが多い。数年前にはメルテザッカーと鉄壁コンビを築き、現在も
アーセナルの守備の調子が良いときは大体この人の調子が良いとき。
ただ、アーセナルが彼に長年無理をさせてきた成果、年齢もあって慢性的なアキレス腱の怪我を抱えており、タイトなスケジュールの中でのフル稼働は難しい時期に来ている。
自慢の快足を活かした広い守備範囲を誇る。裏へのボールで相手FWと競争になっても負けることは少なく、また前に出ていっての果敢な迎撃守備で敵の攻撃を高い位置でひたすら刈り取るのも得意としている。
フィジカル、空中戦、前線へのパス精度などほかの面でも穴はなく、前述のメルテザッカーとのコンビがあまり上手くいかなくなって以降はパートナーが安定しない中、半ば独力でアーセナルの守備を支え続けた。
とはいっても、今でこそ鉄壁のコシェルニーだが、ロリアンからやってきた際には完全に無名の選手であり、一年に一度は決めるオウンゴールと、時々向こう見ずなタックルでレッドカードをもらいがちで、
今とは比べ物にならないほど雑なプレイを見せていた。(今でもスライディングでレッドカードはたまにもらうが。)
DFを育てられない、と評判のベンゲル監督だが、そのアーセナルでDFとして大成した非常にレアなケースの一人。インタビューなどを見た限りでは、ピッチ内での落ち着きとは裏腹に結構お茶目な性格のよう。
ペア・メルテザッカーのプレースタイル・特徴
Embed from Getty Imagesドイツ代表の一員としてW杯も勝ち取った経験豊富なアーセナルのキャプテン。2017/18シーズン終了時点での引退を発表している。同時にその後のアカデミー監督就任もきまっており、チェフと並んでチーム
随一の知的な選手と評判の彼の監督としての手腕に期待がかかる。
プレイ面では見た目通り、スピードはないものの、知的なポジショニングでそれをカバーし、空中戦では無類の強さを誇る。また、足元やパスが上手い、というわけではないものの、嫌な形でパスをカットされたり、ということがあまりなく、組み立ての上手さというのは頭脳も大切であり、技術だけではないのだな、というのを感じさせる選手。
ただ、スピードの不足はポジショニングで補えても、加速や敏捷性はどうしようもないときもあり、スピードに乗ってトリッキーなドリブルを仕掛けてくるような選手に一対一を作られてしまうと少しドタバタした様子を見せることも。
アーセナルでは選手が遅刻など規則違反を犯した際に罰金が科せられるのだが、ドイツ人らしい几帳面さとその人望から罰金の徴収係を任されている。チームではチェフに次いで年長であり、エジルがアウェイファンへのアーセナルファンへの挨拶を怠った際に、ためらいなく世界的スーパースターである彼を叱ってみせたりとピッチ外でもチームの支えになるお父さん的存在。
シュコドラン・ムスタフィのプレースタイル・特徴
Embed from Getty Images30億円越え、というDFにしては異例の高額移籍金で2016年夏にバレンシアからやってきたドイツ代表CB。
ドイツの森で木こり、あるいは海辺で漁師でもやってそうな顔つきでなんだか好感が持てる。確かに調子がいいときには素晴らしいプレイを見せるのだが、時折集中力を切らす場面があったり、あまりにスライディングが多すぎ、調子が悪いとそれが危険なエリアでのファウルになってしまうことも多い。
鳴り物入りで移籍してきた割にはそこまでの活躍が出来ているかというと若干の疑問は残るが、調子が良いときのスライディングやブロックは絶品で、派手なプレイで何度かアーセナルの危機を救っている。
まだCBとしては若いし、スライディングでのミスが目立つところや守備範囲の広さは昔のコシェルニーを彷彿とさせるので、これからの成長に期待したい。必ずしも監督はそうは思っていないようで、移籍して一年しかたっていないにもかかわらず夏の移籍市場でアーセナルが移籍を許可したと報じられていた。
個人的には、CBとしての能力に関しては、今後次第でもあると思うので市場の高騰を考えれば価格の割に納得がいかない、というほどではない。
ただ、唯一不満な点を挙げるとすれれば、多彩な選手でサイドバックもこなせる、という触れ込みだったのに、いざサイドで起用してみると『ヴェルマーレンは左サイドもできる』『ガブリエルは右サイドバックもいける』くらいの感じだったことだろうか。
この件に関しては、天下のドイツ代表でサイドバックやっていた、という話はどういうことなのかレーブ監督あたりを小一時間問い詰めたい。
ロブ・ホールディングのプレースタイル・特徴
Embed from Getty Images現地ファン待望の、国産名CB候補その1。もともと若手DFの序列の一番上にいたのは次に紹介するチェンバースだったのだが、2016年夏の移籍市場で三部のボルトンから彗星のようにやって来るといきなりその座を奪い取ってしまった。
ユーロ後のシーズンで主力守備陣の合流が遅れ、将来有望な若手枠で獲得したと思っていたホールディングが何といきなり開幕スタメン!(しかもチェンバースとペア)という典型的なアーセナル的流れで案の定リバプール相手に4失点と爆散したのだが、それ以降も定期的に出場しては良いパフォーマンスをみせ、最終的に3バックに移行してからも活躍した。
タイプとしては、現在のアーセナルのチームだとどちらかと言えばメルテザッカーのような選手。彼ほど高身長ではないが、その分そこまでスピードが穴となるわけでもなく、足元の技術も悪くはない。メルテザッカーと同じように、積極的にインターセプトを狙って飛び出していくというよりも、一歩引いて落ち着き払った守備を見せる。
格安の移籍金でやってきたイギリス人、というのに加えて、アーセナルの宿敵ジエゴ・コスタと(プレイに関係ないところで)互角にやりあったり、時折イエロー覚悟のプロフェッショナルなファウルをみせたりと、アーセナルではあまり見られない男気とずる賢さ、みたいなものを兼ね備えた選手であり、現地ファンからの人気が高い。
カラム・チェンバースのプレースタイル・特徴
Embed from Getty Images国産名CB候補その2。守備的なポジションの若手に払う金額としては非常に高額な移籍金でサウサンプトンから移籍してきた22歳。
当初は右サイドバックでプレイしていたが、スピードと上下動をこなすスタミナが不足気味なこともあり、CBやCMFをやることが増え、最終的にはCBに落ち着いた。久々の有望な英国人DFということで期待は大きかったが、ファーストチームには定着できず、結局昨シーズンはミドルズブラへとレンタル移籍した。基本的にアーセナルでは、ウィルシャーのボルトンへのレンタルなど稀なケースを除いて、レンタルされる選手は構想外であることが多く、よほどの活躍を見せない限りはチームに復帰するのは難しいのだが、チェンバースはレンタル先のミドルズブラでスタメンを勝ち取って安定した活躍を見せ、今季はファーストチームに帯同している。
しかし、夏には移籍の噂も出ており、恐らくガブリエルが移籍していなかったらチェンバースを売却する予定になっていたと思われる。シーズン開始後も、怪我もあり、ここまでほとんど出場機会を得られていない。
U-21のイングランド代表ではホールディングをおしのけてスタメンで出ていたことからも分かるように、少なくともホールディングと同等ぐらいのポテンシャルは感じられるし、まだ若い選手でもあり、もう少し気長に育ててみれば良いのでは、と思うが、現段階では監督がどれくらい評価しているかは不明。
ちなみにホールディングとは私生活でも仲良しで、しかも同じフラットで一緒に生活しているらしい。二人とも物凄い好青年っぽい。