ウルブスは何故ここまで強くなったのか、歴史を振り返る

       
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@premierleague に所属している、 ウォルバーハンプトン・ワンダラーズFC 'ウルブズ' @Wolves の 非公式 日本語ページです。※公式アカウントからの引用を除き、全ての見解はこのアカウントのものとし、公式アカウントとは関係ないものとします

マンチェスターユナイテッドにダブルをするなど今季、強さを見せるウルブス。

あらためてウルブスの歴史を振り返りつつ

何故ここまで強くなったかを振り返りましょう。

書き手のTwitter

https://twitter.com/Wolves_jpn/status/1113677648289357825?s=20

ウルブズってどんなチームなの?

まずは、プレミアリーグ創設以降のウルブズの成績を軽くおさらいしましょう。

1部のクラブがすべて当時のリーグを脱退し、プレミアリーグを作ったタイミングに、2部に所属していたウルブズ。

2003年、4度目の挑戦となった昇格プレーオフで勝利し、ついにプレミアリーグ初挑戦の権利をつかみ取りました。

しかし、プレミアリーグの壁は厚く、怪我人も多かったウルブズはあえなく1年で降格。

再起を図るウルブズは、08-09シーズンにシルバン・イバンクス-ブレークの25ゴールという活躍もあり、チャンピオンシップを制覇、プレミアリーグに戻ってきました。

ケビン・ドイル、マット・ジャービズ、次いでスティーブン・フレッチャーを擁するミック・マッカーシーのチームは、それから3シーズンの間、プレミアリーグにとどまりました。

おそらく、昨シーズン以前からウルブズのことを知っている人であれば、この3年間の印象が強く残っているのではないでしょうか。

それ以降のウルブズについては、私が以前書かせていただいたこちらの記事で触れています。ぜひそちらも併せてお読みください。

チャンピオンシップ、リーグ1、リーグ2… EFLの各リーグの様子を見ていない方々にとっては、ミック・マッカーシーのウルブズと、今シーズンのウルブズの違いに戸惑い、彼らに何があったのだと気になるところでしょう。

安心してください。それを解説するために私がいます。

チャンピオンシップにも来た「外資の波」

プレミアリーグは、その注目度と、放映権料などから「1年いるだけで1億ポンドも手に入る夢のようなリーグ」と表現されることもしばしば。

しかし、残念なことに、プレミアリーグのクラブのオーナーという椅子は、もう空いていません。

そこで、オーナー候補たちは、その直下のリーグであるチャンピオンシップに目を付けたのです。

「このディビジョンのクラブを買い取って、昇格させれば・・・」

ここまで下心丸出しなオーナーはいないとは思いますが、ざっくりいうとこのような感じで、チャンピオンシップにも大量の資金が舞い込んできました。

ウルブズが中国のフォスン・グループによって買収される前も、タイ人のチャンシリ氏によってシェフィールド・ウェンズデイが買収され、最近では、ウィガン・アスレチックが香港の企業に買収されました。

その他、ノッティンガム・フォレスト、アストンビラ、フラム(昇格しました)など、パッと思いつくだけでもこれだけのクラブが資金力のあるオーナーに代わっています。

資金力でいえば、ルベン・ネベスの移籍金(約1500万ポンド)がチャンピオンシップの移籍金最高額になっていることをご存知の方は多いと思います。

実は、ネベスと同じ夏に移籍したブリット・アソンバロンガ(ノッティンガム・フォレスト→ミドルズブラ)は、ネベスとほぼ同額で移籍しています。

ネベス移籍の1年前には、アストンビラがロス・マコーマックとジョナサン・コジャをそれぞれ1200万ポンドで獲得(当時の移籍金記録)していました。

やっぱり「一貫性」がカギ

資金力があるとはいえ、それをうまく運用しなければ意味がありません。

ヌーノ監督の下、ネベスやウィリー・ボリー、ディオゴ・ジョタといった選手を基軸にチームを作り上げたウルブズ。

それから、デニス・オドイ、トム・ケアニー、ケビン・マクドナルド、ステファン・ヨハンセンらを辛抱強く起用し続け、そこにアレクサンダー・ミトロビッチというラストピースがはまったことで破竹の勢いで順位表を駆け上がったフラム。

資金力の乏しいカーディフも、老将ウォーノックの求める選手をフリーやローンを中心に獲得しました。

それが、彼らの“プレミアリーグ”という結果につながっているのです。

でも、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」って言うじゃないか!資金があるんだから!

それも確かに正しいです。しかし、チャンピオンシップではそう悠長なことも言っていられません。

それが、EFL独自のFFP(ファイナンシャルフェアプレー)の存在。

「直近3年間の収支のマイナスが3600万ポンドを超えないこと」

というのがおおまかなルールです。

クラブ目線に言い換えると、「大型補強を始めたら2年以内に昇格せよ」ということです。

ウルブズは2年目で昇格を果たせましたが、昇格できなかったアストンビラ、シェフィールド・ウェンズデイは今年の夏にまともな補強ができませんでした。

そう考えると、無駄撃ちを繰り返している余裕はなく、やはり大事なのは一貫性、獲得した選手を余すことなく活かすことが大事になります。

https://twitter.com/SkyBetChamp/status/1069718433934254080

今シーズンここまでのチャンピオンシップの順位表を見ても、上位にきているのはやはり一貫性のあるクラブ。

これはパッと見ではわからないので、普段から見ていないとなんのことやらという感じですよね。

EFL所属クラブは、YouTubeのオフィシャルチャンネルにて試合のハイライトを配信しているので、時間がある方は、まずそちらを見てみるのが良いと思います。

ちなみに、クラブ毎に力の入れようが全然異なるので、そのあたりを見比べるのも面白いかも?

結論:チャンピオンシップも変わり始めている

ずいぶんと遠回りしてしまいましたが、私が言いたかったのは、「チャンピオンシップは、もはや以前のようなロングボール一辺倒ではなく、それぞれのクラブの特色が出た面白い試合を展開している」ということです。

また、実力が伯仲しているので、どの試合でも何が起こるかわからないというスリリングさも魅力の一つです。4-1の三すくみができたり、5-5の撃ち合いがあったり…。

「そうは言っても見る手段がないじゃないか」

いいや、あるんです!

https://www.efl.com/iFollow/

ここに詳細が記されていますが、昨シーズンよりスタートした iFollow というサービスでは、年間£110でEFLに所属するクラブの試合がほぼ毎節見られます!

(Daznみたいに、リーグ全試合がみられるわけではなく、あくまでクラブ単位での契約になります。詳しくはリンク先の公式ガイドラインをお読みください)

ウルブズは・・・

大きく話がそれてしまいました。申し訳ありません。

話をウルブズのことに戻しましょう。

ウルブズは、ご存知の通り、ルベン・ネベス、ジョアン・モウチーニョ、ルイ・パトリシオなど、ポルトガル代表の実力者を数多く擁しています。

ですが、ふたを開けてみると、やっているフットボールは昨シーズンのそれと何ら変わりありません。

プレミアリーグでも自らの戦い方を変えなかったウルブズ、カーディフと、大型補強を敢行し、チームを導いた監督と決別したフラム。

今シーズンここまで、両者の明暗がはっきりと分かれています。

幅を取る組み立て

ウルブズは、3人のCBと2人のCMがゲームを組み立て、折を見て前線のFWに縦パスを出す、あるいは反対サイドのWBにロングボールを蹴るといった展開を基本としています。

そのため、ピッチの外側の使い方が重要になります。

ネベスのロングボールの的になることが多いのは、RWBのマット・ドーハティ。ウルブズには2010年から在籍している古株のアイルランド代表DFです。

ドーハティの一番の強みはその攻撃参加。今シーズンもDFながらすでに2ゴール3アシスト、チェルシー戦ではディオゴ・ジョタの決勝ゴールをアシストしました。

また186㎝と上背もあるので、セットプレーでは攻守両面で大事な選手となっています。

ネベス抜きでもチェルシーを撃破できるということを証明した今、ドーハティは、ウルブズで最も重要な選手といえるでしょう。

期待の若手選手、ヴィナグレ

ドーハティの反対側に位置するのは、ルベン・ヴィナグレ。

19歳とまだ若く、将来も期待されているウィングバックです。

このポジションは、シーズン当初はスペイン代表のジョニー・オットーが務めていましたが、残念なことに、ジョニーは11月の代表ウィーク中にひざを負傷し長期離脱。(現在は復帰を果たしている)

そこでチャンスを得たのがヴィナグレです。

ヴィナグレは、とにかく前に行こうとする選手です。その攻撃に対する意欲は、もしかするとチームで随一かもしれません。

スピードとテクニックがあるので、相手をかわして突破することもできます。

ただ、多少難しい局面でも強引に前に行こうとする姿勢が、時に裏目に出ることがあるので、行くか退くかの判断を研ぎ澄ませるのがこれからの課題です。

しかし、左利きのヴィナグレが右利きのジョニーに代わって先発するようになったことで、ウルブズは、よりピッチの幅を利用した攻撃ができるようになりました。

また、ジョニーとは違って、左足でクロスを上げられるので、攻撃の幅も広がりました。

ばれてきた…ウルブズ中盤の攻略法

4-3-3など3CMで構える相手と対戦するときに、3-4-3のCM二人はどうしても激務が課されてしまいます。

そして、中盤を制圧されると、ウルブズはボールを保持することができなくなり、もろさを露呈してしまいます。

ワトフォード戦、ハダーズフィールド戦では、そうした展開の中で失点し、チーム全体、特にCMの二人が冷静さを失った結果、本来であれば行く必要のないエリアにつり出されることとなり、かえって状況を悪くしてしまっていました。

チェルシー戦のような防戦時には、3-4-3の陣形でコンパクトに守ることで、CMを守ることができるため、チームとして善戦ができています。

ジョアン・モウチーニョが、結構軽く足を出してすんなり交わされてしまうので、ネベスがつり出されてしまったり、逆にネベスの食いつきがよすぎて裏のスペースを空けてしまうということがワトフォード戦、ハダーズフィールド戦でありました。

チェルシー戦では、モウチーニョの軽さは相変わらずだったものの、もう一人のCMが潰し屋のロメイン・サイスであったことにより、3CBをうまく守れていたと思います。

結果的に、モウチーニョの出足の良い守備が逆転弾につながったので、彼が諸悪の根源だと決めつけるわけにもいかないわけですが…

ともかく、敗れた試合では何もかもが裏目に出ていた印象でした。

チェルシー戦でも、うまく試合を運んでいる最中にアンラッキーな失点を許すなど、残念な試合展開で前半を終えました。

 

https://twitter.com/Wolves/status/1070612891601199105

 

そんな展開の中、18歳のモーガン・ギブス-ホワイトは孤軍奮闘。

ウルブズは、この試合で3-4-1-2気味のフォーメーションを採用、MGWの守備の不安を軽減するために、ラウル・ヒメネスがサイドに降りて守備をしていたのが印象的でした。

MGWが攻撃面でウルブズの光明となりえるのは、彼が前を向ける選手であるから。

チェルシー戦での同点弾のシーンでは、セスク・ファブレガスからボールを守り、エンゴロ・カンテを寄せ付けず、ヒメネスに絶妙なラストパスを出しました。

彼の前向きなプレーが、サポーターを再び信じさせてくれたのです。

同点弾によりモリニューに活気が戻ったウルブズは、その勢いのまま逆転弾を奪い、テンションは最高潮に。

MGWが72分にピッチを退いた際には、満員のウルブズサポーターから大きな拍手が送られました。

モーガン・ギブス-ホワイト。彼は大きな選手になりますよ…。

秘蔵っ子 レアンダー・デンドンカー、チェルシー戦でついにリーグデビュー!

夏の移籍市場のデッドラインデーに獲得したレアンダー・デンドンカー。実は、チェルシー戦以前で起用されたのは、リーグカップの二試合のみ。

はじめは、W杯明けでコンディション不良だし、プレミアリーグに慣れるのも時間がかかるよな… と彼が一向にリーグ戦に出てこない理由を想像しては納得していたのですが、

ハダーズフィールド戦でのさんざんなパフォーマンスを受け、変化が期待されたカーディフ戦にベンチ入りすらさせてもらえず。

え!?

これにはウルブズサポーターもびっくり。

試合前のインタビューで、デンドンカーに怪我がないことが確認されると、さらに謎が深まります…

ということがあって、迎えたチェルシー戦。

ベンチにデンドンカーがいる!

試合を進めること81分。ついにその時が来た…‼

このタイミングでデビューかい!と突っ込みたくなるところでしたが、ガス欠気味の中盤に新たなエナジーを投入したデンドンカー。

その甲斐あってか、逃げ切りに成功したウルブズ。

出場機会がなさ過ぎて、どのような持ち味を持っている選手なのかは把握しかねている感がありますが、とにかくリーグデビューおめでとう!

デンドンカーの今後の活躍に期待です!

”11“ のワケ

今シーズンはウルブズの守護神として、リーグ戦全試合にフル出場しているルイ・パトリシオ。

彼の背番号が11番である理由をご存知ですか?

実はウルブズには、パトリシオ、ジョン・ラディ、ウィル・ノリスのほかに、もう一人ゴールキーパーが”いた”のです。

https://twitter.com/Wolves/status/1002982602620506119

彼の名はカール・イケメ。

イングランド生まれでありながら、ナイジェリア代表を選択したこのキーパーは、本来であれば昨夏のワールドカップでスーパーイーグルスのゴールマウスを守っているはずでした。

彼は、ワールドカップを1年後に控えた17年夏に、「白血病」と診断されたのです。

新シーズンを目前に、無念の離脱。チームが躍進する中、イケメは一人で闘病生活を余儀なくされました。

チームも彼に対するサポートは忘れませんでした。

その甲斐あってか、1年後に白血病は寛解。イケメは、無事に退院しました。

それと同時に、自らの現役引退を発表しました。

それがこの夏。

今シーズン、モリニューや、ウルブズの試合を開催するスタジアムで、ウルブズサポーターがカール・イケメをサポートするバナーを掲げているのを目にした方はいるでしょうか。

もしも目にしたことがないのであれば、試合前のスタンドをよく確認してみて下さい。

パトリシオの背番号が11番なのは、そんなイケメのために1番を空けてあるから。

話によると、パトリシオが自ら申し出たとのことです。

彼の人柄の良さと、GK同士の絆が垣間見えますね。

こちらは、現役を引退したカール・イケメに対して、各国のゴールキーパーたちから寄せられたエールのクリップです。

ぜひこのクリップを見ていってください。

 

 



【了】

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