内藤秀明
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プレミアリーグ第6節レスターvsトッテナムの一戦は
ホームチームが逆転勝利。
その裏で何が起こっていたのか。起こった現象をまとめた。
現象01
トッテナムは4-3-1-2。縦に素早く攻めるサッカーを志向している。
今季は、低い位置でつないで、相手をおびき寄せて裏のスペースを狙う戦い方をするチームが多い。
流行の戦い方と言えるだろう。
現象02
素早く攻める上で主な状況打開は二つ。
一つは単純に、個の力。主にシソコやエンドンベレの推進力頼み。
現象03
もう一つは、サイドチェンジして、相手にスライドさせる(=マークがずらす)ことで、前線に縦パスのコースを作る。
縦パスが入ると攻撃がスタートする。
なおラメラをトップ下に置いているのは、ボールの引き出しが上手いのと、ボールを受けると素早くドリブルで前に運べるからか。
現象04
その際、鍵になるのはウィンクスの展開力。彼のところでスムーズでサイドに展開できなければ、
レスターはコンパクトな守備を維持できる。
現象05
ただしトッテナムのビルドアップの起点となる中盤の三枚を、
レスターはう上手く抑えて、攻撃をスタートさせないことに成功していた。
ヴァーディーのプレスバックは言わずもがな
マディソンとティーレマンスの守備面でのランニングに奮闘。
攻撃的な選手だけに、これだけ守備で貢献できることについては脱帽だ。
現象06
結果、エンドンベレやシソコがフィジカルをいかした推進力を発揮する場面は少なく、
ウィンクスもスムーズに展開できず。
実際、普段のウィンクスはパス成功率が90%を超えるが、この日は82%。
明らかにリズムが悪くなっている印象だった。
現象07
自陣の1/3のエリアで状況を打開できないので、
スパーズはロングボールを蹴らされることが多い。
ケインが競り勝つこともあるが、レスターはコンパクトに守れているので、ボールを拾える。
スパーズに有利な状況を作らせない。
現象08
一方のレスターは両サイドバックの攻め上がりがよく、アタッカーのバーンズも絶好調。
システムの構造上、レスターの4-3-3に対して4-3-1-2で守ると、サイドバックにつく選手がいないため、中盤がスライドするしかない。いずれにしてもサイドの守備が手薄になる。結果スパーズは押し込まれる展開に。
現象09
押し込まれる現象=相手の最終ラインが高い
ということを意味するので、スパーズとしては本来的には望ましい状況。
ソンフンミンに走らせようと、裏に蹴るが、
レスターの守備をスライドさせることができず、常にセットされている状態ということもあり、完全に裏を突くことができない。
現象10
数少ないサイドへの展開が上手くいった場面から、ラメラへの縦パスが入ることで攻撃のスイッチが入り、縦に早い攻撃でケインがネットを揺らすことに成功するもの。
このゴールは正直「ラッキー」な部分も大きかった。
この後、追加点が決まっていれば、戦術のハマるハマらないにかかわらず、試合の流れが変わったのかもしれないが、VARで取り消し。流れを掴むこともできず。
現象11
原則的に、レスターが押し込んでいるので、あとは個々が決められるかどうかにつきる。
そんな中、押し込んだ状態からペレイラがグランダーのクロスを決めて同点。
ペレイラがドフリーだったのは、構造上の欠陥なので、スパーズとしては押し込まれてグランダーのクロスを射られられた時点でアウトだった。
現象12
その後、得点力不足に悩むマディソンが、まさかのミドルシュート。
押し込まれている中でも先制したため、運がよかったのはスパーズに思えたが、試合が終わってみれば、レスターに傾いた印象。
確かにレスターはスパーズの良さを潰す戦い方をしていたし、勝利する確率を高めたいたものの、マディソンのスーパーシュートがなければ、この勝利もなかったので、最後の最後は個のちからということか。