サッリがユーヴェから求められた裏の理由とは

       
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瀧本 拓朗

瀧本 拓朗

海外サッカーが好きで、特にプレミアリーグ中心に試合を観ています。中学生の頃にそのパスサッカーに魅了されてから、ずっとアーセナルのファンです。戦術的な分析などはまだまだ未熟ですが、「こういう見方もある」という新たな角度を皆さんにお届けすることができれば嬉しく思います。

人気雑誌『フットボリスタ』の編集長を務める浅野賀一さん。

プレミアパブでは6月13日にトークイベントを開催。

雑誌制作の裏側から最新戦術の話まで、様々な内容をうかがった。

はじめに

今週のウェブマガジンでは、

プレミアで活躍できそうなセリエA選手について浅野さんからお話をうかがった。

そこで今回はその中から一部を特別に無料公開する。

語り手

浅野賀一

1980年生まれ。 北海道釧路市出身。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランスとして活動し、『エル・ゴラッソ』、『サッカー批評』などに寄稿。

2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。本誌ではセリエA担当を務めている。

西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。

内藤秀明

ナポリの〝壁〟はプレミアに適応できるのか

では浅野さんにプレミアのクラブが注目すべきセリエAの選手を紹介して頂きたいと思います。

まずは皆さんご存知、ナポリに所属するセネガル代表CB、カリドゥ・クリバリからです。

今季のリバプールを振り返るとフィルジル・ファン・ダイクの存在が大きかったですよね。

ナポリにとってクリバリはそれと同じような存在です。

確かにファン・ダイクの存在は大きかったですね。

1シーズン一度もドリブルで抜かれなかったとういうスタッツは初めて見ましたよ。少し異常ですよね(笑)

【編集部注】
データ会社「Opta」によれば、ファン・ダイクは今季出場した公式戦50試合(プレミアリーグ38試合とCL12試合)でドリブル突破された回数は0回だった。

話を戻して、クリバリがプレミアにフィットしそうな理由は、やはりフィジカル面の強さが適応するからでしょうか?

そうですね。

プレミアでプレー出来るレベルのスピードとフィジカルを持っていることが理由です。

奈良クラブGMの林舞輝はCBの話題になると、すぐにクリバリの話をしたがります(笑)

それくらい反則レベルのポテンシャルを秘めた選手です。W杯であれだけクリバリを苦しめた大迫は本当に凄いと思います。

そうなんですね。では、少し見方を変えて、「予測力」などの頭を使うプレーは得意なのでしょうか?

もちろん、インテリジェンスもあります。

ただやはり注目は「規格外の速さと大きさ」です。

加えてマウリツィオ・サッリの元でプレーしていたので、足元が巧くて、ビルドアップも得意です。

そのサッリがユヴェントスの監督になるかもしれないですね。

【編集部注】

6月16日、サッリがチェルシーを退任し、19/20シーズンからユヴェントスの監督に就任することが発表された。なおその後、チェルシーの新監督にフランク・ランパードが就任することも発表されている。

ユヴェントスがサッリを欲しがった理由とは

セリエA方面のメディアの報道では、サッリのユヴェントス新監督就任は実現の可能性が高そうなのでしょうか?

現時点ではわかりませんが、ユヴェントスが良くなかったのは、後任を決める前にマクシミリアーノ・アッレグリをクビにしたことです。

先に解任してしまったのでしょうか?

まずCLベスト8でアヤックスに敗れたことにより、そのタイミングで一気に批判が集まってしまったことが理由でしょうね。

今季のユヴェントスはCL優勝に本気モードでした。

“CL優勝請負人”であるクリスティアーノ・ロナウド獲得がその意気込みの現れです。

ロナウド抜きでもスクデットは取れますが、CL制覇となると、ロナウドの存在は欠かすことができません。

なるほど。結果的にロナウド獲得のせいで期待のハードルも高くなりすぎてしまったと。

はい。ロナウドを獲得して、アヤックスに結果だけでなく内容でも完敗してしまったことは大きなショックでした。

ユヴェントスサポーターもそうですし、イタリアメディアもそうです。

アッレグリは何が良くなかったのでしょうか?

そもそもユヴェントスの「グローバル戦略」にアッレグリが合っていないんですよね。今季のCL敗退後、アンドレア・アニェッリ会長は擁護したそうですが、副会長のパヴェル・ネドヴェドを中心としたメンバーが解任を進めました。

アヤックスは単純に強かったですし、CLの勝ち負けには運もあるのですが、残念ながら結果は出すんだけどスタイルがいまいち見えない彼のサッカーは許容されませんでした。

サッリならユヴェントスの「グローバル戦略」に合うのでしょうか?

そういうわけではないですが…(笑)

本当ならユヴェントスはジョゼップ・グアルディオラが欲しかったはずなんですよね。ただ現実的には無理なので、せめて「戦術面では戦略にフィットする」監督としてイタリアでも結果を残しているサッリを招聘しました。

ユヴェントスのグローバル戦略がどんなものなのかは存じ上げませんが、試合中もジャージでタバコを吸うおじいちゃんがクールなイメージのユヴェントスに合うのかは少し疑問が……。ビジュアル的にはペップの方がいですね(笑)

ビジュアルで見ると確実にそうですね(笑)。ああいうクールなイメージの監督が欲しいんだと思います。

ジョゼ・モウリーニョはどうですか?

ここ数年は少し株が落ちすぎている印象はありますね。ビジュアル的にはOKでしょうが。

ただ彼は内容を問わないで結果を出すイメージが付き過ぎましたね。

イメージはもちろん、実際にそういうサッカーをしますからね。ユナイテッド時代、バーンリー相手にマルアン・フェライニを中盤の底に置いたのを見た時は「ええ!!」と思いました。いくら空中戦対策したいからといって、当時、絶不調のバーンリーを相手に中盤のビルドアップを捨てるのはさすがにどうかと……。

確かにモウリーニョのそういう部分はユヴェントスが監督に求めるものとは合致しないですね。

(続く)

この対談で話題になったこと

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