ピックフォードのミスは台無しではない、むしろこれこそフットボールだ(パブ代表・内藤コラム#001)

本コラムでは、プレミアリーグに傾倒しているプレミアリーグパブ代表の内藤秀明が

皆さんのプレミア観戦が少しでも楽しくなるよう

サッカーやプレミアリーグの魅力を熱量高く語っていく。



書き手

はじめに

「サッカーの魅力とは?」

と聞かれると

「予測不可能な出来事ばかり起こるので、死ぬほど感情を揺さぶられるから」

と答えることが僕は多い。

なんで予測不可能な出来事ばかり起こるのかでいうと、サッカーの競技特性が原因だ。

手ではなく不器用な「足で」

室内ではなく風や日差しなどがある「野外で」

フローリングではなく少なからず凸凹がある「芝生で」

意思統一が難しい「11人という人数で」

しかも野球やアメフトのように作戦会議をする時間が原則ハーフタイムしかないという「プレーの切れ目が少ない」

そんな競技性だ。

計画を予定通りに遂行することは非常に困難であり、運要素が大きい。

だからこそジョゼ・モウリーニョのような計画を阻害することに対してプロフェッショナルな監督が、格上相手にその優位性を破壊して、戦力を均衡化させることで戦力以上の結果をトーナメントで残すそのサプライズ性は魅力である。

あるいは計画を緻密に設定して運要素を限りなく小さくし、リーグ戦で勝ち点100も積み上げて我々を驚かせるペップ・グアルディオラのサッカーもそれはそれで非常に魅力的なのだ。

フットボールの理不尽性

思い通りにいかないフットボールとは、

時に想定外の歓喜を我々に届けてくれる存在であり

突然の失望を押し付けてくる存在でもある。

どちらにしても理不尽だ。理で説明できるものではないことが多々ある。

緻密に計算された作戦の実行も魅力だ。

ただし理不尽が濃縮された瞬間こそ、他にはないフットボールの魅力だとも思う。

その落差に我々は感情を揺さぶられ、中毒症状を起こす。

誰がウェストハム戦で完敗を喫したチームが、アウェイのユベントス戦で劇的な逆転勝利を成し遂げる予想できたのだろうか。

もしこの匙加減をフットボールの神様がコントロールしているのだとすれば、その神様は相当なひねくれ者だ。

そしてその神様はマージーサイドダービーでも気まぐれを起こした。

マージーサイドダービーで起きた悲劇

この日のマージーサイドダービーは最後の最後までスコアレスだったものの非常にテンションが高かった。

エバートンは[4-4-2]でコンパクトに守りつつカウンターを虎視眈々と狙い

ボールを支配するリバプールは個の力を存分に発揮して、次々とエバートンゴールに迫った。

ただ最後の最後まで、エバートンの最後尾に君臨するピックフォードは、

「ピックセーブ」

を連発。体を張って失点を阻止し続けた。

そんなエバートンの守護神があんなミスを犯すとは誰も想像つかなかった。

96分、ハーフウェーライン付近からセットプレーの場面、ほぼ全員がエバートン側のボックス内あるいは付近にいた。

蹴りこまれたボールは一度跳ね返される。そのボールの落下地点に入ったファンダイクがダイレクトでミドルを狙うものの、蹴りそこなってボールは山なり軌道を描く。

確かに臭いボールではあったものの、触らないか、ボックスの外にセイフティーにクリアする選択肢をとれば、本当になんでもないシーンだった。

ただダービーの魔物がそこにはいた。

エバートンとしては上々の結果である「アンフィールドで勝ち点1ゲット」まで目前の状況で

チームの絶対的な守護神がミスを犯した。

あろうことか、ボックス内に弾いてしまった。

諦めずきちんと詰めていたオリジは押し込むだけだった。

文脈の破壊

ぶち壊しだった。

そこまでの試合の文脈はすべてなかったものになった。

明らかにエバートンが勝ち点1を持ち帰る流れだった。

ただワンプレーで全ての状況が変わった。

小説や漫画でこんな幕切れをされたら、興ざめでしかない。

フィクションにはサプライズが付き物である。

ただしサプライズを起こすにはそれを読者が受け入れるための膨大な伏線が必要だ。

我々にも心の準備が必要だからだ。

そういう意味では今回の幕切れは劇的過ぎた。

フィクションならその状況変化についていけず、置いてきぼりになるところだ。

ただ、これはノンフィクション。現実の世界だ。

だからそ我々は天を仰いで叫び、そして、頭を抱えて崩れ落ちる。

ピックフォードを心情的には責められない

「ぶち壊し」

と、先ほど書いたが、個人的にはそこにピックフォードを責めるニュアンスを含めたくない。

だから台無しではない。

あくまで状況として、文脈が破壊されたことは確かだが、彼を批判する気にはなれない。

思い返せば、いくつかハイボール処理の怪しさはあった。

それは確かだ。

だからといって、あの状況で中に弾くほど、ハイボール処理が下手くそだとは思わない。

でも、中に弾いてしまった。それは単純なハイボール処理が苦手という能力の問題ではないように思う。

マージーサイドダービー、しかもアンフィールド。背後からは散々、ののしりの言葉がかけられたに違いない。

集中という名の緊張状態はマックスだったはず。

そんな中、エバートンとしては悪くない結果を持ち帰れるはずだった。ほんのあと少しで。

「これをキャッチすれば、俺は楽になれる」

そんな心境で、最後の最後の瞬間に油断してしまったのだろうか。

冷静に考えればありえないプレー選択をピックフォードはしてしまった。

でも、こういうありえないことが起こってしまうのがフットボールなのだ。

そういう意味では、「This is football」と言いたくなってしまう。

最後に

ピックフォードのメンタル状況が少し心配だったが、ひとまずは大丈夫そうな雰囲気だ。

もしかしたら、いや、もしかしなくとも強がりなのだろう。

ただそれでも強気な発言ができる程度には落ち着いているようだ。

サポーターからすれば

「あんなミスをしておいて」

という気持ちになる部分もあるかもしれないが、

GKはこれくらいメンタルがぶっ飛んでいてちょうどいい。

ナーバスになってしまうほうがよっぽど心配だ。

文字数の関係で割愛したが、

本人いわく、「ポストに手が当たってしまった」らしい。

ならなおさら、しょうがない部分もあったのかもしれない。

いずれにしても、言葉の上だけでも元気なピックフォードを見て、

今回のような難しい状況を経てどのように成長していくかは楽しみですらある。

また、「ラッキー」「アンラッキー」と叫ばれるような、フットボールの難しくもあり、

予想外故に面白い部分を否定せず受け入れ、

何が起こるのかとわくわくしながら、サッカーを、プレミアを見ながら楽しんでいきたいところだ。

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内藤秀明

内藤秀明

1990年生まれ。大阪府出身。プレミアリーグ専門のサッカーライター。 1年間のイギリス留学中に、FAコーチングライセンスを取得。毎シーズン必ず渡英してプレミアを現地取材している。 ライターとして複数メディアに寄稿しつつ、プレミアサポ向けのイベントを開催。サッカー漫画が大好き。