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プレミアリーグ第14節リバプール対エバートンの一戦、
マージーサイドダービーが行われる。
リバプールの熱戦で、エバートンに勝機はあるのか。
1. エバートンの今季ここまで
①新体制
監督のアラダイス、SDのウォルシュを解任して、PSVで実績を残した(ワイナルドゥムも獲得している)ブランズ、ハル・シティとワトフォードで印象を残したマルコ・シウバを監督に招聘した。
ブランズ&シウバ新体制の下で昨季に引き続き大型補強を展開。シウバの愛弟子リシャルリソンを早々に獲得したあとは、時間がかかったがバルセロナから多くの選手を獲得し、ウィンガー、左SB、若いCB、ゲイエの相棒と補強ポイントの選手を一通りすることに成功した。
②CF問題
[4-2-3-1]がシウバの基本システム。シーズンが始ると、左サイドのリシャルリソンが輝きを放ち、まずまずの成績を残した。しかし、CFをうまくこなせる人材が見つからない。当初一番手としてみられていたトスンも、そのあとチャンスを与えられたニアッセ、キャルバート・ルーウィン共に決定力が足りず、チームの成績も下向いた。
そこでリシャルリソンに白羽の矢が立った。屈強なCBとも渡り合える体幹、サイドに流れてもの勝負できる能力を併せ持っていることが生き、CFとしても活躍。リシャルリソンはCFとしての起用が中心になり、左サイドにはベルナルジが起用された。
③ボランチ問題
もう一つ、今季のエバートンで問題になったのが、ボランチの2枚コンビだ。開幕はシュナイデルランとゲイエのコンビでスタート。フィルター能力はあるものの、2人とも高い位置で脅威になることができなかった。次はデイビスとゲイエのコンビ。運動量豊富なデイビスは機動力に富んでおり、多少攻撃への貢献が良くなったが、まだフィアナルサードでのパス、シュートなどは迫力不足だった。
そして、次に試されたのは現在のゴメスとゲイエのコンビ。バルサに見込まれただけあり、ゴメスは高い技術でボールを持てば相手をかわし、持ち上がり危険なパスを供給。一方、相棒のゲイエも攻撃面で頼れる相棒の存在で負担が減ったのか、守備の調子が絶好調。ここにきてようやく、ボランチも最適解をみつけたと考えられている。
2. チームとしての特長と弱点
①長所
選手の戦術的規律が、最大の長所だろう。攻守の切り替えは両方向にとても早く、速くなった。チェルシー戦がその最もたる特徴で、シグルドソンとリシャルリソンはボランチと連携し、ジョルジーニョを囲い込んで無力化。見事、無敗だったチェルシーの攻撃を完封した。敗北したアーセナル戦にしても、決して内容は悪くなく、前線の4人がうまく連動して、十分チャンスは作り出していた。
もう一つ、今季のエバートンの大きな強みは、一人で仕掛けられる選手を前線に多く擁していること。昨季にはなかった強みだ。好調時には圧倒的なドリブルをみせるベルナルジをはじめ、ルックマン、ゴメス、リシャルリソンは一人で一気にチャンスを生み出せる能力がある。昨季にはいなかったこの4人の存在だけで、いくぶん攻撃が見てて楽しいものになった。
②短所
短所は大きくは二つ。
一つ目はセットプレーの攻撃の弱さ。今季セットプレーから点を奪ったことがほとんどない。まずシグルドソンのFK精度が急激に落ちていることが挙げられる。CKはともかく、FKからだとなかなかヘディングできるような球が来ない。CKであれば、長身のDF陣が上がってきてヘッドを放つが、あまり枠を捉えることがない。拮抗した展開になっても、まずセットプレーからの得点は望めない。
二つ目は強力なカウンターへの耐性。今季喫した3敗はアーセナル、ウェストハム、マンチェスター・ユナイテッドの3チームに対してだった。メガクラブ2つに加え、ウェストハムという前線が強力なチームというメンツである。
不意のボールロストなどのあとにブロックを形成しきれる前に、一流アタッカーによって仕留められたシーンが多い。エバートンはパワー系のDFが多いので、スピードあるカウンターには少々手を焼く。前節カーディフ戦も、いくどか中盤でのボールロストからカウンターを招き、あわやという場面もあったが、相手のクオリティ不足に助けられた。リバプールはプレミア屈指の高速アタッカー陣の揃えている。カーディフ戦のようなミスは即失点につながるだろう。
カギを握ると思われるのは、リバプールの激しいプレスが予測される中盤のコンビ、ゲイエとゴメスだ。パス回しの能力が落ちるゲイエをゴメスがうまくサポートしてボールロストを減らし、仮に失った場合はゲイエを筆頭にすばやくネガティブ・トランジションでカウンターだけは防げれば、勝機は見えてくる。高速のカウンターには確かに弱いが、ブロックを形成した状態では、ピックフォードが背後に控えるDF陣は簡単に崩されないのだ。
3. 予想スタメンと各選手の評価
ピックフォード
徐々に調子を上げ、「ピックセーブ」で度々チームを救う。今季PK阻止率も100%
コールマン
怪我もあったが、徐々に復調しているか。「パス&ゴー」の鬼として右サイドを激しく上下動している。度々ファイナルサードに進出するが、なかなか得点につながらず、精度が低い。香車系SB。
キーン
おおむね好調で、怪我で数試合欠席した以降は常にフル出場。大きなミスもなくシーズンを過ごしている。
ミナ
チェルシー戦でフルデビューした。パワフルなプレーで相手FWに圧力をかけ、ビルドアップもおおむね好調。
ディーニュ
今季の補強の中でも大当たりといえるだろう。攻守にそつがなく、キック制度も高い。パフォーマンスも安定していて、信頼できる。
ゲイエ
今シーズンもタックル数でプレミアリーグを席巻。好調をキープしており、軽快にタックルを繰り出して、ボールを奪っている。パスの視野と精度、シュートセンスは褒められたものではないが、持ち前のアジリティでドリブルはできる。
ゴメス
さすがバルサ。足技・視野・パス技術が高く、攻撃が目に見えて良くなった。結果としてゲイエの守備力を解き放った側面もある。エバートンでは断トツのボールスキルを備えているため、リバプールの猛烈なプレスに対抗するゲームメイクが期待される。
ウォルコット
昨季冬加入。持ち前の速さで抜け出してチャンスを作ることもあるが、視野の狭さとキック精度の低さで得点機をフイにすることも多い。ルックマンが調子を上げており、先発が危ぶまれる。香車系ウィング。
シグルドソン
今季6得点のチーム得点王。そのせいで絶好調!と思われがちだが、絶好調ではない。
10番タイプの選手としては標準以上のフィジカルと守備能力、献身性があるが、一方でボールロストやキックミスも多い。フリーキックも今季はここまで壁に当ててばかり。しかし、レスター戦・フラム戦でのスーパーな決勝点、ジョルジーニョを封殺など特筆すべき活躍も多く、替えが利かないのも確かである。
ベルナルジ
164cmの超小兵ドリブラー。ブラジル代表であったこともあり、テクニック、パスセンス一級品。調子が良ければ、彼のドリブルはまず止まらない。
リシャルリソン
エバトニアンの新アイドルとなった、若きブラジル人。左サイドが主戦場だが、チーム事情でCFを務める。簡単に言えば、ベジェリンをぶち抜くドリブル、モーガンと互角に競り合えるフィジカルを併せ持つ点が何より貴重。守備への貢献も怠らない。CFとしてはまだ不慣れな面もあり、CBとの1対1ではやり辛そう。