「前線、飽和状態じゃない?」シティがマフレズを獲得した理由とは?

マンチェスター・シティがリヤド・マフレズをようやく獲得した。

過去には移籍目前までいったが、レスターと金銭面で折り合わず、

アルジェリア代表MFをスカッドに加えることは叶わなかった。

シティのスカッド

マフレズを獲得できたシティの攻撃陣はより強力になった。

最前線には、セルヒロ・アグエロ、ガブリエル・ジェズスというタイプが全く違う2選手がプレーする。代表クラスのストライカーが二人もいる層の厚さはシティの攻撃に幅をもたらす。

特に面子が豊富なのはウイングだ。

ベルナウド・シウバ、レロイ・サネ、ラヒーム・スターリング、そして新戦力のマフレズ、レギュラークラスの選手が計4名で2枠を争う。

しかも若手には18歳期待のイングランド人アタッカーのフィル・フォーデン、左サイドバックでの起用がメインだがウイングでもプレーできるウクライナ代表の21歳オレクサンドル・ジンチェンコも控える。

そして、基本的には中盤での起用になるだろうが、ケビン・デブライネ、ダビド・シルバらもレギュラー陣と変わらずパフォーマンスをウイングで発揮できるタイプ。

世界でこれほどウイングの陣容が豊富なチームはない。

これら大物選手はBIG6でもレギュラーを張れるクオリティを持つ選手たちであり、そんな大物たちが試合によってはベンチに並ぶことを考えると、

「贅沢すぎる」

とシティサポ以外は愚痴も言いたくなる。

では、それでなくとも陣容が豊富だったところに、シティは何故リヤド・マフレズという希代のドリブラーを獲得したのだろうか。

理由は主に3つあると考えられる。

チャンピオンズリーグを本気で獲得しにいくため

カップ戦というものは、往々にして短期戦であり運要素が強い。

レギュラー陣が短期的にいいコンディションであれば、サブとの戦力差は露呈しないことが多々ある。

ただし、チャンピオンズリーグは違う。

特に2018年の決勝でレアル・マドリーがリバプールを破った事実を振り返ると、総戦力であることは明らかだ。

ハードワークが求められるユルゲン・クロップ監督の下、リーグ戦では最終節まで翌年のチャンピオンズリーグ圏内を確定することができず体力を消耗。加えてチャンピオンズリーグ決勝進出を成し遂げるために、多くの緊迫した試合を重ねたリバプールは満身創痍でけが人続出の状態だった。

スタメンこそトップコンディションの選手を集めたものの、モハメド・サラーがマドリーDFセルヒロ・ラモスとの交錯で負傷退場すると、代わって入ったのは怪我あけのアダム・ララーナ。

明らかに試合勘が戻っておらず、ハイテンションの試合の中で浮いた存在となってしまったイングランド代表のアタッカーは、最後まで存在感を見せることができず試合を終えた。

そんなリバプールの層の薄さとは対照的に、レアルマドリーは後半途中から移籍金にして100億円越えのギャレス・ベイルを投入。華麗なオーバーヘッドとミドルシュートを決めて、チームを勝利に導いた。

「サラーの怪我がなければ…」

「せめてララーナが、いつものララーナなら」

多くのリバプールのサポーターがそう嘆いたはずだ。筆者も一人のプレミア好きとしてリバプールを応援して、同じような嘆きを口にした。

ただし、そのようなイレギュラーな出来事に対応できるチームこそが、チャンピオンズリーグを獲得できるのであろう。

そういう意味で、マンチェスター・シティは陣容をさらに厚みを出し、今シーズン本気でチャンピオンズリーグを獲得しに行くという姿勢を見せたとも言える。

ウイングの采配に幅を出す

単純に似たような個人が複数いるだけでは、怖くない。

それでは采配に幅が出ないのだ。

違うタイプが揃ってこそ怖さが出る。

サネ、スターリング、シウバ、マフレズの4人は驚くほど四者四様だ。

サネは最もフィジカル的な素養が高い。

加速もトップスピードも速く、親が新体操選手だけありDFの当たりを吸収できるしなやかさもある。サイドで持たせればそのフィジカルを生かして突破し、高速クロスや、強いシュートで得点に直結するプレーができる。

スターリングは、加速に一点特化したイングランド人らしい選手だ。スプリントで相手を抜き去り、スペースがあれば無敵なタイプ。さらに、ペップ指導の下でオフザボールの動きは成長しており、サネよりは中央でボールを引き出すことも得意としている。

課題は…、決定力か…。

これまでの二人がスピード系だとすれば、ベルナルド・シルバはどちらかというとテクニック型。

ある程度のスピードはあるが、どちらかというと相手の逆をつく絶妙なドリブルで突破していく。低い位置や中央でも「スルスル」と、ボールを前線に運ぶプレス突破型のドリブラーだ。精度の高いスルーパスも持っており、周りを上手く使うこともできる。

そしてマフレズには、二つの側面がある。一つは相手の嫌なところに速いクロスを送ったり、右サイドからカットインしてファーにミドルを突き刺したりするキッカーとしての資質だ。

もう一つの武器は、他の誰も持ち合わせていない、変化自在の「体重移動」だ。

スターリングのようにスプリントで抜くわけでもない。シウバのように連携をとり辛いDF間のコースにボールを運ぶわけでもない。

彼は自身の体重移動のスムーズさだけで、相手を抜き去る。

相手が「静」の状況から、左方向にまず体重を移動する、それにDFが釣られて同じ方向に体重移動した瞬間、常人では考えられない速度で重心を逆に持っていく。

対面するDFは驚くほどに簡単にマフレズのキックフェイトにひっかかるのはそのせいだ。

スターリングが筋肉を使った「5m走」が誰よりも早いタイプだとすると、マフレズは重心移動を使った「1m走」が世界中で誰よりも速いタイプだと言える。

それでなくとも三者三様だったところに、これだけタイプの違う選手が加わったとなれば、相手チームからすれば脅威でしかない。それこそ、ベイルが途中で出てくるマドリーよりも、変化幅は大きい。

チームの全体戦術にも幅を出す

マフレズの加入で、ベルナウド・シウバを左サイドに置き替えることができるようになった。

このコンバートにより、シティの攻撃はさらに多様性が高まる。

それは何故なのか。

フットボリスタで連載中のサッカーライター、結城康平氏に以前インタビューを行った際に、その理由について言及したので、内容を一部抜粋して紹介する。

結城康平とは

英国大学院を卒業後、海外事業部的な社会人に。(Graduated from Glasgow UNI) □A big fan of Wigan □月刊フットボリスタ様で、連載中。(Football writer)

何故、シウバは左サイドに

(以下、抜粋)

シティの基本的な戦い方は変わりませんかね?

左サイドバック次第かと。

バンジャマン・メンディとファビアン・デルフのどちらを使うかで、内容は変わります。

メンディが入れば、デルフのように偽サイドバックとしてプレーしないので、

3バックにもなる可変型の4バックではなく、普通の4バックになりそうですね。

それに加えて、中盤とウィングの組み合わせも変わると思います。

左ウイングはサネじゃなくなる感じがします。

それは確かにあります。サネはサイドに張って突破して強みを発揮しますが、メンディーもサイドを上下動して絶妙なアーリークロス供給して良さを発揮するタイプですので、プレーエリアが被ってしまいます。

左ウイングに中に入るタイプを使いたいですね。

ベルナルド・シルバを使う可能性もありますね。

いずれにしても、メンディをどう使うかは重要です。彼の序列を上にしたいのか、それともデルフで行くのかで組み合わせが変わりそうです。

(抜粋、終了)

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<結城康平×内藤秀明>居酒屋プレミア談義~プレミアBIG6総括編~ より抜粋して編集)

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さて、このようにシティはそもそも、左サイドバックのチョイスによって、ウイングを変える必要があった。

マフレズが加わったことによって、シウバを左サイドは回すことができ、

「サネ&デルフ」

「シウバ&メンディ」

と、その組み合わせによってより縦に早く攻めるのか、ボールを保持しながら崩すのかが選択できるようになった。

もしマフレズがおらず、スターリングが負傷した場合はシルバを右に回す必要があり。自動的にメンディが

「起用できない」

という宝の持ち腐れになるリスク、つまり戦術的な幅も減らすというリスクがあったのだ。

そういう意味ではスターリングと同等以上のレベルのマフレズを獲得できた意味は大きい。

最後に

以上が、マフレズを獲得した理由だ。

ワールドクラスのアタッカーが加わったことで、3年目のペップ率いるシティはさらに強くなる。

プレミアリーグでも一番手の優勝候補だろう。

自身の応援するチームと対戦する時だけ見てもいいのだが、1シーズン通してみるのも面白いかもしれない。

視聴者を飽きさせない、様々な戦術的な試みを見せてくれるはずだ。

それを実現するスカッドが揃いつつあるのだから。

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【了】

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内藤秀明

内藤秀明

1990年生まれ。大阪府出身。プレミアリーグ専門のサッカーライター。 1年間のイギリス留学中に、FAコーチングライセンスを取得。毎シーズン必ず渡英してプレミアを現地取材している。 ライターとして複数メディアに寄稿しつつ、プレミアサポ向けのイベントを開催。サッカー漫画が大好き。