本番で勝ちきれないからこそ、愛してやまないあのイングランド代表は、もういなくなってしまったの?

       
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内藤秀明

内藤秀明

プレミアリーグのファンサイト「プレミアパブ」の代表、マンチェスターユナイテッド・サポーターズクラブジャパン会長。 大学時代に1年間イギリスに留学し、FAコーチングライセンスを取得。現在はプレミアパブの代表としてトークイベントやフットサルイベントを主催しつつ、ライターとしても複数のメディアに寄稿している。 2019年1月に初の著書『ようこそ!プレミアパブ』上梓。

強いチームを応援するのは楽しいものです。なにせ勝ってくれますから。

応援しているチームの勝利は自分が勝利したような感覚にしてくれます。

いわゆる疑似勝利体験とでもいいましょうか。自分まで強くなったような感覚になるのです。

勝ちきれないチームの応援には中毒性がある

一方で、いわゆる常勝集団ではなくとも、もちろん応援する楽しみは多くあります。

話は逸れますが、そもそも、サッカー観戦の何が面白いかというと

「裏切られる」「予想外のことが起こる」

からでしょう。

時には期待を裏切られて辛い気持ちに。

時には、「どうせ勝てないんだろ」と自嘲的になっているところを逆にを裏切られて、天にも昇るような心地にさせられます。

むしろ、コンスタントに勝ち続けるよりも、諦めからの起死回生のほうが中毒性が高い。

往々にして、人生というものは誰しもが苦難の連続であり、自身を「常勝」タイプと位置付けているタイプは少ないはず。

少なくとも日本人は。

だからこそ、人々はありえないジャイアントキリングを起こすチームや

多くの試合において危なげにも関わらず、時折目を見張るようなパフォーマンスを見せるチームを

ついつい応援したくなるものではないでしょうか。

苦難の連続である自分にも、そんな奇跡や無敵モードが、いつか訪れるのではないかと期待して。

イングランド代表はまさに

そういう意味では、イングランド代表は非常に中毒性のあるチームと言えるでしょう。

メンバーを見ればワールドクラスの選手たちがそろっており、

予選では全勝などで突破。ワールドカップやユーロへの参加権を手にします。

「今年こそいけるのでは?」

そんな気持ちにさせるのもつかの間、気づけば、毎年ベスト16や8くらいで敗退。

しかも惜しくもPKで。

そして毎年毎年

「プレミアリーグの疲労が原因だ」

「中盤の組み合わせが悪い」

なんて、何度も聞いたことのあるような反省をします。

そうして予選では全勝して、

あるいは、苦しんだとしても最終節アディショナルタイムにフリーキックを直接決めるなどの劇的な展開を経て

国際大会への参加切符を手にし

人々を高揚させた後、再びどん底に突き落とす。

腹が立つ、悔しい。精神衛生上悪い。

それでも嫌いになれない。

あの塩試合をしたあげく、誤審やセットプレーなどで、悔しくも敗退していく。

でも大好き。

それが俺たちのイングランド代表だったと思っていました。

ロシア大会のイングランド代表は何かおかしい

あれ、強いぞ?

普通に強いぞ?

本当にイングランド代表?

まさかの3バックで堅守を誇り、ボールを保持しながら、セットプレーで得点を量産。

PK含めて11点中8点がセットプレーって、どこの勝負強いチームですか。

ベスト16のコロンビア戦でアディショナルタイムに失点した時は、

「あー、これこれ、これこそがイングランド代表だ」

なんて、悔しい思いをしないために、自分で期待値を下げながら試合を見ていましたけど、

最終的に苦手だったPKで勝利して、ベスト8に。

スウェーデン戦に至っては、これまたPKから先制して危なげなく試合を運び、追加点まで決めて無失点で勝利。

 

 

「なんだこれ、こんなの俺たちの知ってるイングランド代表じゃない」

 

 

イングランド代表が勝つのはプレミアが好きな自分としては嬉しい。

でもなんだろう、この違和感は。

でも嬉しい。頑張って欲しい。ここまできたら優勝してほしい。

頑張れイングランド。若い選手たち。若い指揮官!

 

 

 

 

 

と、まあ、ここまで優勝を期待するようなエントリー…

つまり壮大なフラグを作っておけば

 

 

 

勝てばもちろん嬉しいですし、

負けても

「フラグだったか…」

と笑い飛ばせる。

向かうところ敵なしだ!

 

 

これもサッカーの楽しみ方ですよね。

 

 

カモン!イングランド!



【了】

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