山中 拓磨
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英語の実況を聞くときや、記事を翻訳する時にいつも思うのですが、流石サッカーの母国というべきか、英語には素晴らしいチームやプレイを褒めるための形容詞が数え切れないほどあります。
いつも大体『素晴らしい』くらいの単語に訳されて終わってしまうことが多いのですが、それらを個人的に思う賞賛度合いと一緒にリストアップしてみました!
レベル1 Good
まずは基本的なこの単語から。これはサッカーに限らず英語全体に言えることですが、Goodは良いと訳されるものの、本当に良いと思っている場合はもっと大げさな単語が出てくることが多いので、Goodくらいではあまり積極的に褒めているとは言えません。
例: Good tackle by Koscielny. (コシェルニーのいいタックルだ。)
レベル2 Great/Wonderful
あくまで個人的な体感ですが、GreatとWonderfulの褒め度合いは同じくらい、あるいは若干Wonderfulの方が上でしょうか。これでようやく日本語で言うところの良い、くらいのような気がします。
Great save, wonderful effortなどはそれなりの褒め言葉ですが、まだまだ全力で賞賛しているとはいえません。一試合に10回くらいは見られるプレーのレベルです。
例: Great save, by Petr Cech! to deny Rooney’s curling effort.
(ルーニーのカーブシュートを阻んだチェフの良いセーブ!)
レベル3 Amazing/Brilliant/Lovely/Gorgeous
ここらあたりからは実況であれば大分声を張っているはずです。素晴らしい、という訳語がしっくりくる感じの単語たちです。個人差の範囲内だとは思いますが、この4つの中ではfantasticが一番レベルが高いような気がします。
また、説明するのが難しいのですが、lovelyは素晴らしいどうこうとは別に、素敵な/華麗なとでもいうのでしょうか、お洒落なプレイ、のようなニュアンスを含みます。例えば、イメージ的に言えば弾丸ミドルシュートには使われず、チップキックやフェイントなどに使われることが多いです。
ゴージャスは日本語で言うように豪華/派手というような意味合いはそこまで強くなく、brilliantとあまり違いはありません。ただ、サッカーの文脈で使われるのは比較的稀です。
例: Ohhh, lovely piece of skill, by Santi Cazorla!
(おーっと、カソルラが華麗な足さばきを見せつけた! (若干意訳))
レベル4 Fantastic/Fabulous/Superb/Incredible
FantasticがBrilliantやAmazingより上なのか、というのは議論の余地がありますが、語感的に、ファン-タ!!スティックという風にためられるので、目を引くプレイを形容する上で使い勝手がいいです。
この辺の単語は、攻撃陣の専売特許となってくるので、使われるのは、ほとんどシュート、時々パスやドリブルに限られてきます。かろうじてゴールライン上ぎりぎりのクリアなどには使える、くらいでしょうか。
Fantasticはイギリス英語御用達の単語なので比較的よく出てきますが、ファビュラスあたりは実況者/ライターの好み次第では全く使わない人もいるかと思います。
便宜上あまり多すぎると面倒なのでレベル3と4に分けましたが、この辺の区別は実際はあってないようなものです。笑
例: It hits the post,,, and rebound is falling to David silv,,Ohhh incredible goal line clearance by Monreal!!
(ポストに当たってはねかえったボールがダビド・シル、、おーっとモンレアルの信じられないライン上でのクリアだ!!)
レベル5 Staggering/Stunning/Outrageous
登場頻度はここまでの他の単語と比べてぐっと少なく、実況だと一試合に一度出るか出ないか、という感じです。
Staggerはよろめく、stunは気絶させる、という意味でそれぞれ眩暈のするような、呆然とさせる、といった意味なのですが、ここらあたりから日本語の訳語を見つけるのが不可能になってきます。
Outrageousはoutrageが暴虐な行いなどを意味する単語であることからわかるように、元々はとんでもない、というネガティブな意味だったのですがそこから派生して、あり得ないというくらいの意味で誉め言葉としても使われます。
言葉の性質上、スルーパスやドリブルで気絶することはあまりないので(という理屈もよくわかりませんが笑)基本的にはStaggeringとStunningはシュートに使われます。逆に、Outrageousはスピードやパワーではなくテクニックを褒めることが多いので、技あり、といった感じです。
素晴らしいを超えた誉め言葉なので、訳すとすれば、凄まじい、や超絶、などといったところでしょうか。
例: Great ball by Ozil,,OH! that’s an outrageous looping volley from Aaron Ramsey!!!
(エジルからの良いボール、、なんてこった!ラムジーの超絶ボレーのループシュートだ!)
レベル5 Absolutely + お好きな形容詞/What a + お好きな名詞
そろそろテンションが上がりすぎて一語では表現できなくなってくるので、単語を組み合わせて素晴らしさを形容します。
Absolutelyはveryと似ているのですが、程度を表せない形容詞を形容する副詞で、ここまで登場した単語の大体どれにでもくっつけられます。
(つまり、Goodであれば少し良い、良い、とても良い、などといえますが、例えばamazingやwonderfulといった驚くべき、といったくらいの意味を持つ単語は驚くべきかそうではないかの二者択一で、少し驚くべき、などとは言えないのでそういった単語を強める際に使います。)
Absolutely fantastic, absolutely brilliantなどなど、お好みのものをお選びください。
逆にもう形容詞を端折ってしまい、What a goal! What a volley! What a pass!などなど、なんて~だ!で済ませるという手もあります。体感的にはこの2パターンのテンションの上がり具合は同じくらいで、セットで使われることも多いです。
例: De Bruyne,,he can shoot from here,,, what a save! absolutely wonderful from David Ospina
(デブライネ、、、この距離から撃つことも出来ます、、なんてセーブだ!オスピナの最高に素晴らしいプレイ!)
レベル6 Absolute + 名詞/sheer + 名詞
恐らく誉め言葉を長く引き伸ばせるほうが、興奮度合いをより伝えることが出来るからだと思うのですが、ロスタイムに逆転ゴールが決まった時など、テンションが上がり切った時には上に登場した形容詞を名詞系にかえて、それをabsoluteで形容する、という裏技があります。同じように、sheer(まったくの)という単語も使われます
“What a goal! Sheer brilliance!”
“absolute masterclass”
のような文章が登場すると、普段は伝えきれないことを悔しく思いながら素晴らしいプレイ、などと訳していますが、たまには原文に忠実に エジルがひとかけらの途方もなく素晴らしい輝きをみせた などと訳してみるのも面白いかもしれません笑
これの応用編としてはどれも大体弾丸シュートを形容するのにつかわれる、rocket, stunner, thnderboltなどと一緒に
Absolute thunderbolt!(凄まじい稲妻シュート、とでも訳すのでしょうか) といった言い方もあります。
例: “Sheer moment of magic! produced by Santi Cazorla!!!”
(サンティ・カソルラが魅せる!魔法の一瞬!)
以上となります。
もしハイライト動画などで英語で実況が叫んでいるのを耳にしたら、どういう単語を使っているのか是非注意を払って聞いてみてください。
(この記事は、アーセナル・コラムと同時掲載となります。)