【コラム】戦術的ファウルがサッカーを台無しにする?ルールは改正すべきなのか。

サッカーというスポーツは伝統的に、ルール変更に関しては保守的な姿勢を保ってきた。

だが一方で、ここ数十年の間に、いくつかの非常に重要な変更が加えられてきたことも事実だ。

(※この記事はESPN掲載のマイケル・コックス氏のコラムを翻訳・編集したものです)

ルールの変更とサッカーの変化

例えば、90年代初頭のバックパス(を手で扱えなくなる)に関する変更により、GKにはより高い技術が必要とされ、パスサッカーが奨励された。
そして、タックルはより厳罰化され、これによりアタッカーは酷いタックルから守られるようになった。
さらに、オフサイドのルール変更により、プレイと関係ないオフサイドポジションの選手はオフサイドと認められなくなり、
極端なハイラインで中盤を圧縮してしまうようなスタイルを獲るのはより難しくなった。
総合的に見て、技術を持つ選手たちが優遇されるようになり、サッカーのテンポは上がり、より改善されたといえるだろう。

戦術的ファールはルールの不完全性ゆえに起こる?

だが、今また、国際サッカー協会は新たな変更を加えるタイミングが来ているように思う。

彼らは最近、革命に比較的乗り気のようだ。

では、この機会にサッカーにいまだに残る問題の一つ、意図的なファウルの問題に対処するのはどうだろうか?

戦術的なファウルというのは現代のサッカー界では当然のものだと受け入れられている。

たいていの場合、危険なカウンターアタックの機会を相手が中盤で、ボールを持っている選手をファウルで止める、というケースが多い

この時、カウンターを仕掛けているチームは、絶好の攻撃の機会を摘まれ、

引き換えに悪い位置でのフリーキックを得る。そして、これは単にイエローカードで罰されるだけだ。

イエローカードだけでは割に合わないことは明らかだろう。

結局、それがプレイヤーがこのファウルを犯す理由なのだから。

彼らは、このままカウンターを食らうよりもイエローカードを”チームのために一枚もらう”ことの方が良いと考える。

だが、これは明らかに問題だ。

どのような状況でも意図的に相手をファウルするのにインセンティブが与えられてはならない。

そのような状況が起こりうる場合、ルールが不完全だといえる。

戦術的ファウルはルール違反を犯すことで相手の攻撃を止める。そしてこれは必死で乱雑なタックルとなることが多く、相手選手の安全も脅かされている。

具体的には・・・

例えば、ベネットのリロイ・サネへの酷いタックルを見てみよう。

これにより、プレミアリーグの最もエキサイティングな選手の一人が戦線から数か月離脱することとなった。

もちろんベネットのタックルが相手を怪我させる意図があったわけではないだろうが、意図的なファウルであったことは事実で、彼は危険なほどの勢いでタックルに飛び込んだ。
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タックルの悪質さに関係なく、このようなファウルをするためのモチベーションとなる要素が多すぎるのだ。
それであればなぜ、単純に、ボールを奪う意図が全くないこのようなファウルは.レッドカードとする、というルールを導入しないのだろうか?

2016年以降、ある種の特殊な状況、『得点が期待される機会』において、ボール奪取を目的とした結果のファウルであるか、

意図的なファウル であるかにより、イエローカードとレッドカードの差異が生まれることとなった。

ペナルティエリア内での二重罰を避けるために相手と対峙する最後の一人のDFがエリア内でファウルを犯した場合は、

PKとレッドカードは同時に与えられないこととなった。ペナルティエリア外であれば、これはレッドカードとフリーキックだが、エリア内の場合はPKとイエローカードとなる。

だが、注目するべきは、これには”ファウルがボール奪取を目的としていた場合に限って”という条件が付けられていることだ。

逆に言えば、ペナルティエリア内であろうとも、もしそれが意図的なファウルであった場合は、レッドカードとなるということだ。

では、なぜこのルールをピッチ上の場所にかかわらず適用しないのだろうか?

CL決勝の試合終盤に、アトレティコ・マドリードがレアル・マドリード相手に3対1のカウンターを仕掛けたとき、

それはこの試合で彼らにとって最も良いチャンスだった。

だがこの攻撃を、セルジオ・ラモスは明らかに意図的なファウルで止めることに成功した。

何故この行為が退場に値しないのだろうか?3対1で、恐らく明確な得点機会につながっていただろう。

アトレティコの戦術自体が、カウンターをベースに組み立てられており、その根本ともいえるような攻撃をルールに反して止めた罰則がイエローカードでは割に合わない。

この意見に対する最もありがちな反論は、典型的な『そんなルール改正をしたら一試合に3人は退場になってしまうぞ』というものだろう。

だが、これは違反と罰則というものの核心を完全に間違えてとらえているといわざるを得ない。

選手がGKへのバックパスや後ろからのタックルに関するルール改正に適応した時のように、彼らはたやすく適応することだろう。

加えて、選手に要求されるのは単にタックルはボールを狙うようにすること、というだけだ。これがそこまで不条理な要求だとは思えない。

アーセナルのグラニト・ジャカがスウォンジー戦で、バロウの足を引っかけ退場になったことは少し物議をかもした。確かに、現状のルールを考えると、あれは驚くべき判定だった。

似たようなケースで、スウォンジーのリロイ・フェルもFA杯のウォルバ―ハンプトン戦でさらに些細なファウルでカウンターを止めたことにより、レッドカードをもらった。

非常に厳しい判定で、その後のアピールにより、彼の出場停止は覆ることとなった。

だが、むしろ逆に、すべてのファウルはこのような基準で判定されるべきではないだろうか?

もし選手が意図的にファウルをすれば退場になると知っていれば、相手選手を蹴りつけるのをやめ、代わりにボールを狙った本当のタックルを行うようになるだろう。

今シーズンチェルシーがアンフィールドで1-1で引き分けた際に、アザールがリバプールの選手に継続的にファウルされた。

だが、特にリバプールは罰せられることはなく、チェルシーの攻撃は完全に停滞し、

そして結果としてプレミアリーグの最も素晴らしい選手の一人であるアザールがファウルがもとで、怪我でピッチを去ることとなった。

アザールを止めたいのは理解できる。だが、それならば彼からボールを奪わなくてはならない。

何故問題がここまで顕在化したか

もちろんこういった戦術的ファウルの問題は新しいものではない。

だが、ここ数年で急速に広がっているように思える。第一にカウンターの精度とスピードが上がったことが理由だろう。

第二に、プレスを多く用いる戦術が一般的になっているからだ。
これにより、プレスが失敗した際に相手を止めるためには何か極端な手段を取らないといけなくなってしまう。

究極的には、サッカーが戦術的ファウルを許容しているせいで、我々は素晴らしい攻撃やエキサイティングなゴールを観る機会を奪われているのだ。

もしルールが変更されれば、最初のうちは混乱するだろうが、それも数週間くらいで収まるだろう。

そしてすぐに、なぜ今まで我々はビッグゲームがわざとファウルを繰り返すことで台無しにされ続けるのを指をくわえて見ていたのだろうと訝しがることになるに違いない。


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山中 拓磨

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