山中 拓磨
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アーセナルのDF陣のプレースタイルや特徴を解説。
今回はサイドバック編となっています。
モンレアルの特徴・プレースタイル
Embed from Getty Imagesコシェルニーに続いて数少ない頼りになるDFその2。もともとは左サイドバックだが、3バック時には左側のCBが定位置となり、最近は4バックのCBをこなすこともある。アーセナル守備陣1の安定感を誇り、ここ数年に限って言えばミスの少なさでは恐らくコシェルニーにも勝る。スライディングは少ないが、知的なプレイでインターセプトを連発し、大半の試合においてチーム1のボール奪取数を記録する。
また、勝負強さも兼ね備えており、得点数は多くはないものの、ゴールを決めるときはそのまま試合も決めてくれることが多い。
遅咲きながらアーセナルに移籍してから大きく成長した選手であり、アーセナル選手の成長率ランキングではラムジーとトップを争うと個人的には思う。クリシーが去って以降ろくな左サイドバックがいなかった(アンドレ・サントスは誰が何と言おうとサイドバックではなかったし、ヴェルマーレンを起用したりしてごまかしていた)アーセナルで、ギブスの競争相手となるべくスペインから獲得されてきたが、攻守
両面で、不安定なギブス以上に不安定なパフォーマンスに終始していた。
しかし、CBに怪我が相次いだためベンゲル監督がサイドバックでも守備に不安の残るモンレアルをCBで起用し、誰もがこれは監督ご乱心ですか!?と思っていたところ何故か見事に適応してみせ、それ以降左
サイドバックに戻されてからも守備が非常に安定するようになった。それからギブスをベンチ、最終的には移籍にまで追いやり、今年は月間MVPにも選ばれるなど、スタメンの不動の一員となった。
もうすぐ32歳ともうそれなりの年齢になってきているが怪我による長期離脱がほとんどないのもアーセナルファンとしては嬉しいところ。
エクトル・ベジェリンの特徴・プレースタイル
Embed from Getty Imagesバルセロナのユースチームから2011年に引き抜かれてやってきた韋駄天右サイドバック。尋常でなく足が速く、ウォルコットの短距離走の記録を抜いてチーム一位になった際には大きな話題を集めた。
バルサからやってきてすぐにはそこまでの注目度ではなかったが、サニャの代役として獲得したドビュッシーが怪我で離脱した隙を逃さず、不安定だったジェンキンソンとチェンバースを追い抜いてスタメンに定着。その後も好パフォーマンスを連続して見せ、期待の若手から一気にその地位を不動のものとした。現状明確な代わりがおらず、アーセナルの怪我されると困る人ナンバーワンといっても過言ではないかもしれない。
もともとMFあがりなのもあるが、さすがはバルサ育ちというべきテクニックでボールの扱いはお手のもの、持ち前のスピードも合わさって攻撃時には敵にとって大きな脅威となる。一時期はスピードを過信しすぎて、
1対1の際に一回抜かれても追いつける、という変な余裕を持っているのか、緊張感のないプレイをしてしまうという欠点もあったが、それも最近は改善されてきている。
しかし、足首の怪我の影響か、あるいはプレミア仕様に肉体改造するための筋トレのしすぎか、以前ほどぶっちぎって足が速い、というほどでもなくなってしまったのが少し気になる。また、昔はまあまだ若いので、
ということで大目に見られがちだったが、ファーストチームでの年数を重ねるにつれて、クロスの精度の低さとファイナルサードでの判断力の欠如が目立ちつつあり、
サイドを駆け上がっていって最終的にどうしようもなくなって雑なクロスをとりあえず上げる、あるいは斜め後ろのエジルに預けてもう一度やり直し、といったシーンが見られ、
若干かつてのチェンバレンを彷彿とさせる。とはいってもチェンバレンもリバプールに移籍する直前くらいにはクロスの精度は大幅に改善されていたので、まだ若いことだし将来に期待。
メディアを賑わしがちな選手でもあり、バルサユース上がりの選手にはよくあることだが毎年バルセロナ復帰の移籍話が新聞をにぎわせる。
契約更新が上手くいかない最近のアーセナルには珍しく長期契約を結んでいるのでもう数年はその姿がアーセナルで観られると思いたい。そして、本人が非常にファッションへの興味が強いこともあり、ファッション関連のイベントには出まくっている。
もちろん見る人が見ればおしゃれなのだろうが、普通の人から見るとこれは一周回っておしゃれ・・・なのか・・・?という髪形や格好をしていることが多く、クラブ公式も含め色々といじられがち。
セアド・コラシナツの特徴・プレースタイル
Embed from Getty Images2017年夏にシャルケからやってきたばかりのフレッシュな左サイドバック。
アーセナルには珍しい肉体派の巨漢で、愛称はThe Tank(戦車)。ボスニア・ヘルツェゴビナ代表選手で、シャルケ時代にはダビド・アラバを差し置いてブンデスリーガベスト11に選ばれるなどの実績を持つ。まだアーセナルでのプレイ歴は浅いが、その実力の片鱗を見せており、ファンからの人気も高い。
その見た目に違わず、フィジカルで敵を吹き飛ばすシーンも見られ、エミレーツスタジアムではよく歓声が上がる。
ジルーが出場しない試合では、空中戦であてになりそうな選手が強いて言うならジャカぐらい、という感じになってしまう中で、サイドバックとしてはかなり空中戦で強い方なので、困ったときのチェフのロングボールの的としても貴重な戦力となっている。
さらに、見た目からは想像もつかないテクニックも持ち合わせており、時々マルセイユルーレットっぽく相手を抜いて行ったりすることも。
そして、かなりのシュート精度も誇り、DFとしては異例のアシスト・ゴール数を記録している。見た目は完全にCBのそれなのだが、心に大空翼っぽいものを少し持っている模様。
マテュー・ドビュッシーの特徴・プレースタイル
Embed from Getty Imagesサニャがマンチェスター・シティに引き抜かれていったのに伴ってニューカッスルから鳴り物入りでやってきた右サイドバック。
当時はサニャを押しのけてフランス代表の右サイドバックのレギュラーとして活躍していたりもしていたので、期待はとても大きかった。しかし、残念ながらアルナウトビッチから殺人プッシュをくらったりとケガに悩まされ、アーセナルでは思うようなプレイはほとんど見せられなかった。
さらに、同時期にあっという間にベレリンが台頭してきたこともあり、本当にまだアーセナルの選手ですか?というくらい最近はどこにも姿を見せずに長い間冷凍保存されていた。
もちろんアーセナルからしても話が違う!
となっただろうが、本人にとっても非常に後悔の残るサッカー選手人生の後半となってしまった、と思っていることだろう。
基本的には時折思い出したように練習試合やカップ戦に出てくるくらいにとどまり、非常に不遇なキャリアを送っている。
エインズリー・メイトランド=ナイルズの特徴・プレースタイル
Embed from Getty Imagesアレックス・オックレイド=チェンバレンがいなくなったと思ったら途端にファーストチームに彗星のごとく現れた苗字に=持ち第二号。英語ではどちらもハイフン表記なのだが、なぜカタカナになると等号での表記なのだろうか。
17歳で史上二番目の速さでトップチームデビューして以降は少し伸び悩んでいた印象があったが、最近メディアが同じくユースから上がりたてのリース・ネルソンに注目している間にいつの間にかチーム内での序列を駆け上がってしまった。
コラシナツがケガもあり若干不安定だったのと、不動の左サイドバックだったモンレアルが3バックではCBとして欠かせない存在になってしまったため、ユース時代はボランチでプレイすることが多かったが今のところは左サイドバックあるいは左WBとしてプレイすることが多い。
もともと攻撃的な選手だったということもあってパスやドリブル突破はDFとは思えないほどうまい(DFではないので当然なのだが)。またスピードも申し分なく、それを活かした一対一の強さはベンゲル監督も公の場で褒めたたえるほど。
ちなみにメイトランド=ナイルズ家の母は相当な強者のようで、以前U-21の練習中に殴り込みをかけて息子を連れて帰ろうとした事件は北ロンドンに衝撃を与えた。殴り込み、というのは比喩ではなく、本当にクラブの上層部に殴り掛かったので逮捕されてしまった。
その後すぐ釈放はされたようだが、クラブの敷地内には出入り禁止を食らったという。
こんなお母さんに鍛えられているからこそ、チーム最年少なのに年齢を感じさせない落ち着き払ったプレイができるのかもしれない。
現状はサイドバックだが、フランシス・コクランのバレンシア移籍が発表され、監督はナイルズを守備的MFの後釜として考えている節があるため今後MFとしての出場が増えるかもしれない。