【シティ攻略法】マンチェスターダービーでモウリーニョがとるべき戦術とは

       
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佐藤 邦和

佐藤 邦和

リバプール大学のサッカー産業MBAを修了。本場のフットボールを見て、現場のフロントスタッフやサポーターと話をして、プレミアリーグの凄さに感銘を受けました。主に現地記事やフロントのこぼれ話を紹介していきたいと思います。

今シーズンのマンチェスターシティはここまで14勝1分と過去最高のパフォーマンスを見せている。

第2節でエヴァートンと1-1で引き分けて以降連勝を重ね、

プレミアリーグシーズンレコードに並ぶ13連勝を記録している。


(本記事はSky Sportsの記事を翻訳&要約しています)

しかも15試合で46得点も奪っている。

失点もオウンゴールを除けば僅か8しかない。

単純計算するとシーズン終了時点では116得点25失点となり、

これは13連勝を記録した2001/02アーセナル(79得点36失点)、

2016/17チェルシー(85得点33失点)を上回ることになる。

次節は連勝新記録をかけたマンチェスターダービーである。

2位ユナイテッドとしても優勝するためには絶対に負けられない一戦である。

この大事な一戦で名将モウリーニョはどのような策を打ってくるのだろうか?

シティのストロングポイント

英国Sky Sportsは今シーズンのシティの強みとして4つのポイントを挙げている。
1. シュートの正確性
2. 相手に攻める時間を与えないボールポゼッション
3. 両ワイドの運動量と攻撃力
4. デブライネの覚醒

シュートの正確性

12/6のCL(vsシャフタール・ドネツク)では

12/3のリーグ戦(vsウエストハム)とメンバーを6人も変えて、

システムも3-4-3で臨んできた。

試合は1-2で敗れたものの6本も枠内シュートを放っている。

シャフタールはプレミアクラブよりも実力は劣るかもしれないが、

メンバーとフォーメーションを変更しても

なおこれだけ枠内にシュートを放つことは容易ではない。

下のグラフは今シーズンシティが放った枠内シュート数と

放たれた枠内シュート数である。

(Sky Sports参照)
見ての通り圧倒的に相手チームよりもシュートが正確であることが分かる。

相手に攻める時間を与えないボールポゼッション

さらにバルセロナ、バイエルン同様にグアルディオラが就任したことにより

シティのボールポゼッションは格段に高くなった。

就任2期目にして15試合平均72%もボールを保持している。

ボールポゼッションが60%を下回ったのは第11節のアーセナル戦のみ。

ボールを保持して、

相手を押し込む時間が長いためシュートを打たれる回数も少ないのだ。

実際今シーズンの被枠内シュート数はリーグ最少の27しかない。

両ワイドの運動量と攻撃力

正確なシュートとボールポゼッションに加えて、

両ワイドの選手の攻撃力の高さもシティ最大の強みである。

第8節ストーク戦の2点目はそれが形に現れたいい例だろう。

BBCによると

今期のシティ全試合(リーグ、カップ含む)のゴールのうち

47%も両ワイドの選手(サネとスターリング)によって生み出されていると言っている。

彼らがこれまでと大きく変わったところはポジショニングである。

特にスターリングは中央寄りでボールを受けたがっていたが、

ペップは彼らをタッチライン際に張っているように指示した。

するとデブライネが侵入できるスペースが中央に生まれた。

このスペースを相手が埋めようとするとサイドでフリーになれるというわけだ。

そしてそこからカットインが始まる。

まさにバイエルン時代のロッベンとリベリのように。

実際、敵のペナルティエリア内でボールを触る回数は減ったが、シュート数は増えているとBBCが伝えている

Sky Sportsでもシティのサイドからの攻撃(アシスト)の割合の多さを特徴づけている。

ただし彼らはリスクを冒してまでドリブルはしない。

だからシティは簡単にボールを失わないのである。

トットナム戦の解説動画を見るとよくわかる。

デブライネの覚醒

そして今シーズンのシティをけん引しているのがデブライネである。

サネ、スターリング同様にワイドな位置から仕掛けたり、

バイタルエリアに侵入してゴールを狙うことも出来る重要な選手に進化した。

4-3-3のCMFの中でもより攻撃的なポジションを取り、

ここまで4ゴール8アシストを記録している。

モウリーニョの策は?

これほど完成された強さを発揮するシティ相手に

マンチェスターダービーに向けてユナイテッドは

どのような策を打ってくるだろうか?

Sky Sportsでは以下の4つを注目ポイントとして挙げている。

1. シティのサイドバックが上がった裏のスペース
2. ルカクの復活
3. デブライネへのマンマーク
4. サネとスターリングのマークを外すな

シティのサイドバックが上がった裏のスペース

ユナイテッドがチャンスを創る上で重要になるのが

シティのサイドバックの裏のスペースになるだろう。

第3節からシティのディフェンスは4バックが基本となり、

コンパニー、オタメンディ、ストーンズ、マンガラがCBを務めている。

しかしストーンズは第12節でケガをして離脱し、

コンパニーも故障しがちである。

定まらないCBのコンビネーションにはグアルディオラも不安を抱いている。

カイルウォーカーとダニーロの両サイドバックがバックラインから外れて高い位置にいるときに

ユナイテッドがボールを奪って速攻が決まれば

コンビネーションの整わないCB相手に決定機が生まれるのは間違いない。

興味深いことにユナイテッドは今シーズン速攻から4得点を奪っている。

これはリバプールの7得点に次いでリーグ2番目の多さだ。

モウリーニョはシティ同様にマルシャルとラッシュフォードをワイドに配置して、

そこから速攻を決めている。

下の図はユナイテッドとシティのプレイエリアを示している。

(Sky Sports参照)

これを見るとシティよりもユナイテッドのほうが両ワイドからの形を得意としていることが分かる。

実際にこの戦術でシティが苦しめられた試合があった。

それが第4節のリバプール戦である。
結果だけ見ると5-0でシティの大勝ではあったが、

リバプールのマネが退場するまではシティはサイド攻撃に苦しんだ。

下の図はマネが退場する前までのメインポジションを表している。

(Sky Sports参照)

シティの両サイドバック(#22メンディ、#2ウォーカー)はバックラインよりも高い位置にいた。

一方リバプールは#11サラー、#9フィルミーノ、#19マネが

その背後を取るようにプレイしていた。

特にサラーは何度もメンディの背後を取り、好機を創り出している。

ルカクの復活

攻撃においてもう一つ重要なことはルカクの復活である。

ここまでチームトップの8ゴールを挙げているユナイテッドの新エースではあるが、

第8節以降はわずか1ゴールしか挙げていない。

しかもペナルティエリア内でのシュートを外すケースが多いのである(下図参照)。

(Sky Sports参照)

決定機を確実にものにできるエースがいなければシティに勝って、

優勝を手繰り寄せることは難しいだろう。

デブライネのマンマーク

一方、ユナイテッドが失点を許さないためには

デブライネ、サネ、スターリングを抑えることが重要になる。

第7節のチェルシー戦ではバカヨコとカンテが

バイタルエリアのスペースをしっかりと埋めたことでデブライネに侵入を許さず、

シティの決定機は半減させられた。

ユナイテッドもエレーラかマティッチを

デブライネにマンマークでつけて自由にさせないと上手くいくかもしれない。

実際昨シーズンの第33節チェルシー戦では

モウリーニョはアザールにエレーラをマンマークでつけて2-0で勝利している。

サネとスターリングのマークを外すな

非常にスピードのある両ワイドには要注意だ。

ただし、サネとスターリングは今シーズンクロスの精度がよくない。

わざと縦に行かせてクロスを上げさせればそれほど怖くはないかもしれない。

世界中から注目されているビッグマッチ

今シーズンの大一番、マンチェスターダービー。

マンチェスター市民だけでなく、

世界中のサッカーファンが熱くなる試合である。

この一戦を指揮するのがかつてエルクラシコなどで幾度となく戦ってきた二人の名将である。

火花散る名将同士、どのような戦略で立ち向かうのかぜひ注目して頂きたい。

 



【了】

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