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7月18日の18時からチェルシーはニッパツ三ツ沢競技場にて公開練習を行った。
平日夕方の開催であったが、解放されたメインスタンドが埋まるほど多くの人が訪れた。
最後には選手がファンサービスを行うなど、ファンにとってはとても幸せな時間になったはずだ。
はじめに
このイベントの注目は、ランパード監督がどのような練習を行うかであろう。
実際、彼の練習は以下の流れだった。
①アップ
②チームを「攻撃パターン練習組」と「ピッチ外トレーニング組」に分けて、時間で区切って交代
③チームを3つに分けてハーフコートのミニゲーム
④各自トレーニング
時間は2時間弱ほどで、川崎フロンターレとの試合前日とあってか軽めの練習に見えた。
このイベントでは選手やコーチスタッフの声が観客席にも聞こえ、選手の関係性や戦術に関して気付く点が多かった。ここではその中でも特筆すべき5つの特徴に関して言及する。
新加入選手は誰とペアを組む!?
プレシーズンのトレーニングが始まって10日近くが経った中、気になることの1つは新加入選手がチームに溶け込めているかだろう。
その意味で言うと、新加入選手と既存メンバーとの関係性が垣間見えたシーンがある。
攻撃パターン練習の前に2,3人組のパス交換があった。各自で相手を選び、ボールの感覚を確かめるためにパス交換をするもので、サッカー経験者にはお馴染みかもしれない。
ここで気になるのが、「誰が誰をパス相手に選ぶか」だ。
例えばジルー、カンテ、ズマの3人はフランストリオでパスを回していた。国籍でグループを作るのはよくあることだ。
ニューカマーで最初に気になったのは、ダービーからレンタルバックしたメイソン・マウント。
彼のペアはダビド・ルイスであった。
国籍も年齢も離れている2人が組むことを意外に感じる人もいるかもしれないが、実は2人は大の仲良しだ。
その仲の良さはSNSからも明らかである。
2人は飛行機やバスで隣に座る。またルイスがアカデミー時代のマウントと撮ったツーショットもファンの間で有名だ。ルイスはダービー時代のマウントと試合をした際に、過去のツーショットと現在のツーショットを並べた画像をインスタグラムのストーリー上に投稿している。“Life is amazing!!” と綴られた投稿を微笑ましく感じたファンも多いだろう。
公開練習前にも2人でストレッチをする場面は見受けられた。公開練習での2人のコンビを見て、改めて兄弟の様な仲の良さを実感した。
Nice to capture this beautiful moment for David Luiz and Mason Mount to share. Luiz is a “true role model and inspiration” for Mount. #CFC pic.twitter.com/tTLwWTDcQn
— Nizaar Kinsella (@NizaarKinsella) November 3, 2018
またドルトムントから加入したプリシッチの相手は、クリステンセンだった。
お互い年が近いものコンビを組んだ理由の1つだろう。またプリシッチにとっては、ロスタフ=チークの欠場で相手探しに困っていそうなクリステンセンは好都合だったかもしれない。
蛇足だが、クリステンセンとロスタス=チークは仲が良い。同い年の2人はアカデミーの同期で、一緒にいる場面がチェルシーのSNSで多く確認できる。アカデミー時代のクリステンセンはトモリともプレーをしたが、公開練習ではお互いが別チームであった。
プリシッチは練習外でバークリーやドリンクウォーターと談笑する場面も見受けられた。英語を母国語として話すことがチームに溶け込む上で有利に働きそうだ。
攻撃の形は?
攻撃のパターン練習では、サイドから相手を崩す流れの確認が行われた。
ディフェンス側がCBの2人、オフェンス側は9人が参加した。オフェンス陣の内訳は、両サイドバック、中盤3枚、両ウィング、トップ下1枚、ストライカー1枚だ。
攻撃は主に中盤の3人から始まる。中盤のパス回しからウィングに展開し、ウィングはサイドバックや中央の選手と連携を図りながら、カットインからシュート、またはクロスで相手を崩す流れの確認であった。
中盤の繋ぎでは、時にランパード自身がディフェンスとして入った。
ここから窺えるのは、素早いパス交換からサイドを基調に相手を崩す意識だ。
中盤の選手の繋ぎの場面では、ランパード監督から ”Earlier !!(もっと早く繋げ)”との指示も聞き取れた。選手も1,2タッチでのパス交換からサイド展開を繰り返した。時間をかけずにサイドに展開する意図の表れだろうか。
センターハーフに入った選手は中盤でのパス回し後にサイドにも顔を出し、ウィングとサイドバックを助けるシーンもあった。また、この練習はサイドバックが攻撃に絡むのが基本形でありサイド攻撃の厚みを加える意識を感じさせた。ウィング、センターハーフ、サイドバックが能動的に絡んで、コンビネーションからサイドを崩す流れができていた。
この練習で質の高さを見せたのがジョルジーニョである。トラップやパスを浮かせる選手が多い中、彼のボールコントロールは安定していた。またサイドに走りこむ選手のスピードを殺さない絶妙なパスを多く供給した。実際にパターン練習で彼の所属したチームはテンポよくパスを回し、シュートまでの流れがスムーズであった。
練習で見られた特徴は記者会見でランパードが語った「縦に早く、活発に攻めるのが自分のスタイル」という言葉に合致する。実際に川崎戦でもサイドバックとウィングが畳みかけるようにサイドを崩す場面も目立ったため、今後も攻撃の1つの形となりそうだ。
カンテとジョルジーニョの役割とは
今季のチェルシーの注目点は、カンテとジョルジーニョがどのような役割を与えられるかだ。昨季にサッリ監督はジョルジーニョを中盤の底に置きカンテに攻撃的な役割を与えたが、カンテの守備での貢献を考えると適性ポジションではないとの見方もある。
公開練習で2人がどのように起用されるか注目したが、残念ながら2人が同じチームでプレーすることはなかった。彼らは別々のチームで中盤の底を任されていた。
ランパード監督は中盤の選手に時間をかけずに展開することを求めていた。この部分だけを考えるとジョルジーニョが中盤の底を務める可能性が高そうだが、ダービーでランプスは中盤の底に守備での貢献を重視した人選をしていた。またランパード本人が、マケレレという守備の達人に支えられた人物でもある。
とはいえ、カンテとジョルジーニョの起用法は未だ確定していないのだろう。ランパードも「プレシーズンで選手個人の能力を見極めたい」と話すだけに、2人の適性を模索中なのではないか。
フリーキックは誰が蹴る?
練習後は各自で自主トレーニングのような形であった。その中で奥のゴールでは直接フリーキックの練習が行われた。
キッカーはルイス、コバチッチ、バチュアイだ
ルイスとコバチッチは惜しいキックもいくつかありキッカー候補と予想できた。バチュアイは利き足とは逆の左でキックをしていた。
ちなみにランパードもこの練習に参加した。
フリーキック練習をする面々。キッカーの順番はランパード、コバチッチ、ルイスです。 pic.twitter.com/zCh8rTU49p
— Shin Miyajima (@blue_blue_ss) July 18, 2019
ウィリアン、アロンソ、ジルーは昨季にFKを蹴っており、キッカー候補に挙がるだろう。また、マウントもチェルシーSNS上でFK練習に励む姿が映されている。来季は誰がFKからゴールを決められるか楽しみだ。
レジェンドは未だ健在
公開練習で印象的なシーンがあった。
攻撃のパターン練習で、選手のシュートが大きく枠を逸れた。ボールはゴールの右上を通過し、無人の観客席へ…と思いきや、見覚えのある人が!しかもその人はボールをキャッチ!
よく見るとその人はチェルシーのレジェンドGKで、今季からフロントに入閣したチェフであった!!
そこそこ早いシュートで、しかも観客席に座りながらにも関わらず、素手でボールの勢いを完璧に抑えてキャッチした。現役さながらなの技術を見せられ、チェルシーファンは大いに盛り上がった。
シュートが大きく枠を外れ、チェルシーのスタッフが座るスタンドに飛んでいくボール⚽💨
スタッフがノーバウンドでナイスキャッチ👏✨よく見たら去年まで現役のペトル・チェフではありませんか😲💥
今年からチェルシーの技術及び評価顧問に就任したチェフはPC作業をしていました😄写真部📸金子 pic.twitter.com/GV041EbyZn
— サカダイ「中の人」 (@sakadai_naka) July 18, 2019
ちなみに彼は観客席からチームの練習を観ていた。途中でパソコン作業をすることもあり、おそらく広い視点から見た練習のフィードバックをコーチングスタッフ陣へ共有する仕事なのかもしれない。
だとすれば、テクニカル・アドバイザーとしてランパードと協働するチェフが見れたのは大きな喜びであった。
まとめ
ランパード監督はまだ就任してから日は浅く、まだ試行錯誤を繰り返す段階であるはずだ。これ以降もチームに変化を加えていきながら、開幕に向けて調整するであろう。
ファン目線で言えば、プレミアクラブのチーム練習を最後まで見ることができて、とても貴重な体験となった。またランパードが監督としてチームに指示を出す姿を見れたことも、チェルシーファンにとって非常に幸せであったはずだ。
日本人であることを幸運に思うと共に、チェルシーや横浜ゴムを含むすべての関係者に感謝したい。