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誰がここまでの活躍を想像することができただろうかーー
アーロン=ワン・ビサカ。2018年2月25日、聞き覚えのない名前がラインアップに並んだ時、正直不安の方が大きかった。
しかも相手はスパーズ。デビュー戦にしてはいささかプレッシャーが大きすぎる気もした。
書き手
にわかに注目を集めつつあるパレスの俊英、アーロン・ワン=ビサカについて書いてみました(おそらく日本初?)。彼の存在をほとんど、あるいは全く知らないという方にも読める内容となっております。是非ご一読ください🙇♂️https://t.co/fHp57DtJnh
— mi (@11mi__) October 17, 2018
※本記事は転載記事です。転載元は【こちら】
はじめに
Aaron Wan Bissaka has been named in September’s U21 team of the month across Europe’s top five leagues, based on ratings from [https://t.co/riyiIakmtr] #CPFC pic.twitter.com/D8wE7i8qrU
— PalaceEagles.com (@PalaceEaglescom) 2018年10月4日
しかし試合が始まると、その不安は一瞬にして拭い去られた。試合には0-1で敗戦したものの、彗星のごとく現れた弱冠20歳の青年は、緊張したそぶりを見せることなく、相手の左サイドを完全に封じ込めてみせた。
その後も安定したプレーを披露した彼は翌月のクラブ最優秀選手と年間ベストヤングベストプレーヤーに選出。そして、今シーズンは8月、9月と2か月連続でクラブの月間最優秀選手に選ばれた。
一体彼は何者なのか。彼のデビューまでの道のりとプレースタイルについて紹介していく。
1. デビューのきっかけは…
11歳の時クリスタルパレスに加入したワン=ビサカだが、元々はウイングやストライカーといった前線の位置で起用されていた。そんな彼に転機が訪れたのは2016-2017シーズンの中頃のこと。 u-23カテゴリーから初めてトップチームの練習に呼ばれた彼は今までとは違う役割を命じられた。パレスの大黒柱、ウィルフレッド・ザハとのマッチアップだ。
今までディフェンスを経験したことがない選手が、プレミアリーグ屈指のドリブラーであるザハと対面する。それは無謀な試みのように思えたーー
しかし彼はサイドバック初挑戦にして、ザハに対し素晴らしい対応を披露。いい意味で期待を大きく裏切った。このニュースはあっという間に選手やコーチ陣の間で話題になり、これが引き金となって彼はウイングからサイドバックへと本格的にコンバートした。
当時、アンダーカテゴリーでワン=ビサカを指導していたコーチのリチャード・ショーはこう語っている。
「彼は守備の規律を忠実に守ることができるんだ。私は彼をu-16とu-23の時に見ていたけれど、元から守備に関して確かな考え方を持っている選手だったね。」
そして2018年2月。トップチームに本職を右サイドバックとする選手がいなくなるという緊急時に彼は抜擢され、ファンの間で大きな話題を呼んだ。しかしザハをシャットアウトできるほどのポテンシャルがある彼からすれば、プレミアリーグのデビュー戦は我々が思っていたよりも難しくなかっただろう。
サイドバックとしての彼の現在の活躍は偶然ではなく、ある意味必然だったのかもしれない。
2.プレースタイルとキャラクター
そんな大車輪の活躍をしているワン=ビサカだが、彼の特徴は大きく分けて3つある。
1つ目が足のリーチの長さを生かしたタックルやスライディングだ。タックルやスライディングに至るまでの予測能力もさることながら、そのタックルやスライディングの「深さ」には目を見張るものがある。通常の選手よりもリーチが長い分、相手の選手はドリブルで抜き切るのが難しく、良い間合いを取りづらい。データで見ても、リーグの
最多タックル成功数ランキングの上位に常にランクインしている。しなやかな体つきから繰り出される彼の対人守備に、ぜひ注目してみてほしい。
2つ目が前に運ぶ推進力及びドリブルだ。前述したとおり、彼は元々ウインガーの選手。持ち運ぶ能力や前に出て行ってからの仕掛けはサイドバックとしてはなかなかのもの。直線的なスピードの速さや軽い身のこなしで右サイドの攻撃を活性化させる。
3つ目が切り替えの早さだ。特にボールをとられてからの切り替えが早く、ボールを奪われた位置が悪くとも、すぐに自分でボールを奪い返すシーンがこれまでの試合の中で何度も見られる。カバー意識の高さと危機察知能力も彼を語る上では欠かせない要素の1つだろう。
ただ個人的に改善してほしい点があるのも事実だ。特に気になるポイントはクロスの質。ベンテケやセルロートといったターゲットマンをトップの位置に配置することが多いパレスにおいては、サイドからのクロスは有効な攻撃手段の内の1つだが、そこの精度があまり芳しくない。同年代のアレクサンダー・アーノルド(リバプール)と比べると、その部分で大きく劣ってしまうのは事実だろう。
そして最後に言及しておきたいのが、彼の人当たりの良さだ。インタビュー動画を見たらわかる、「いい奴」感。温厚で実直な姿勢はファン目線から見てもとても誇らしい。何より第6節のニューカッスル戦で、ケネディに対して怒っているザハを自ら抑えに行った行動には驚いた。「キャプテンシー」という点においては既にザハを上回っているかもしれない……
”Your wingers don’t like him… Wan Bissaka!!” のチャントが今日も鳴り響いている。セルハーストパークはもちろん、イングランド代表でこのチャントを聞くのもそう遠くはないかもしれない、と感じる筆者であった。
参考
ワン=ビサカの直近8試合の戦績(2018年8月14日時点)
• クリア本数 40 回
• タックル数 33回
• インターセプト数 19回
• 1対1勝利数 15回
• チャンス演出数 4回
• 1アシスト