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やっぱりーー、結局、決められないんだ。
第4節のクリスタルパレス対サウサンプトン戦。後半終了間際に放ったヘディングシュートはキーパーの正面へ。彼は天を仰ぎ、むなしい表情で試合終了のホイッスルを聞いた。
彼の名はクリスティアン・ベンテケ。
書き手
https://twitter.com/love_cpfc_jp/status/1026809836455976960
はじめに
パレス加入初年度の2016-17シーズンには15得点を挙げた「元」エースストライカーは、現在、チームの中でもがき苦しんでいる。
なぜ彼は輝きを失い、多くのファンから見放されてしまったのだろうかーー。
1、パレス加入以前のベンテケ
Benteke: “Aston Villa are still in my heart. They gave me the chance to be the player that I am today.” #AVFC pic.twitter.com/xVYj8pKMrS
— thevillazone (@thevillazone) 2016年12月16日
2012年、アストン・ヴィラに加入したベンテケはプレミア初挑戦にも関わらず、リーグ戦19得点を記録し、熾烈な印象をプレミアサポにもたらした。
その翌2シーズンもゴールを量産し続け、3シーズン連続で2桁得点を記録。
2015年夏、3250万ポンド(約63億円)の移籍金でリヴァプールに移籍した。鳴り物入りで加入したものの、ユルゲン・クロップ就任以降は徐々に出場機会を減らし、わずか1年で退団。翌年夏にパレスへ移籍することとなる。
2、パレス加入後のベンテケ
Christian Benteke likes to score at Stamford Bridge: 3 goals in 4 games.
2012-13
2013-14
2014-15 (injured)
2015-16
2016-17 pic.twitter.com/S5dNszUjTc— Kristof Terreur (@HLNinEngeland) 2017年4月1日
パレス加入初年度の16-17シーズンは、水を得た魚のようにゴールを量産。
恵まれた体格を生かしたボックス内での強さは、まさに向かうところ敵なし、といった様子で地上戦・空中戦共に相手の脅威となり続けた。
やってきた新エースストライカーの活躍に筆者も胸を躍らせていたものだった。パレスの攻撃陣の未来は、彼が解決してくれるだろう、と。
しかし……
現実はそう甘くなかった。
サム・アラダイスが退任した2017年以降は得点率が大幅に減少し、わずかシーズン3得点にとどまると同時に、シーズン終盤にはベンチ要員に降格。
その影響もあってか、今年のW杯のベルギー代表からも漏れるなどまさに散々なシーズンとなってしまった。
何が彼をここまでの不調に陥らせてしまったのだろうか??
3、ベンテケが輝けない理由とは?
Unfortunately I have had to withdraw from the @BelRedDevils due to a knee injury. As always, I’ll work hard to get back as soon as possible. Nothing worth having comes easy… pic.twitter.com/cLmFST5DA2
— Christian Benteke (@chrisbenteke) 2018年9月6日
主観的な分析にはなってしまうが、ロイ・ホジソンの導入した戦術がベンテケにとっての足枷になってしまったのは原因の1つとして考えられる。
アラダイスが採用していた4-3-3のシステムは、今以上に彼の元にボールが入り、彼を中心に攻撃陣が連動して動いていた。
1トップとして攻撃に注力することができた彼はゴールを量産。
ある意味「ベンテケ」に依存したチームだった。
しかし、ホジソンは就任後4-4-2のシステムを採用し、攻撃陣に規律と周りへのサポート意識を要求。
その2トップの一角として、現エースであるウィルフレッド・ザハがブレイクした。
つまりベンテケは「中心」ではなく、「前線の一駒」としていかに輝けるかを試されたのだ。
「ザハ」に依存したチームにおいて、ザハをサポートするのは2トップの一角として当然の責務だ。
しかし、明らかにザハとベンテケの相性は悪い。
ボールを動かすリズムやタイミング等、1年経過したにも関わらずこのコンビがうまくいったと感じる試合ははっきり言って1試合もない。
その戦術的なズレや、ストライカーとしての自分の責務に自信を失ってきた状況が今の結果に結びついているのではないだろうか。
本来の「点を決める」感覚すらも抜け落ちてしまっているように感じる。
フィットネスの状態に関しても、特に目立った問題が見受けられなかった開幕数試合。
ホジソンがザハを「中心」とした現在のシステムを採用し続ける限りは彼が輝くのは難しいと感じるのだ。
4、そんな状況であっても……
Benteke equalises for @CPFC with their first headed attempt on goal, converting their 11th cross from open play #EVECRY pic.twitter.com/ADmWlkPIIB
— Premier League (@premierleague) 2016年9月30日
以上のように述べてきた筆者であるが、そんな私はおそらく数少ないベンテケ応援派である(笑)
それはなぜか? ただ彼を見ていると、昔の輝いてる彼を思い出すからだ。
ゴールに向かって体を投げ出し点を取る典型的なフィジカルモンスター。
輝いているときの彼はまさに「野獣」だった。
もしかすると、戦術的な問題ではなくただ早熟なプレーヤーだけだったかもしれない。ライバルとなるジョーダン・アユ―やアレクサンダー・セルロートにポジションを奪われ、このままパレスで輝く日が二度と来ないかもしれない。
それでもサポーターとして彼が昔の姿を取り戻す姿を願わずにはいられない……。戦術的な要素は関係なしに、一選手としてのびのびと彼がプレーし、ゴールをゲットするのを週末に見たい、というわがままに近い思いが私の中にはある。
いつの日か彼が再び「野獣」に戻れる日が来ることを願ってーー厳しくも暖かい目でクリスティアン・ベンテケという選手を応援していきたい。