MiyajimaShin
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イギリスに住んでいると、パブで試合を観戦することが多い。
パブで観戦することの良いところは、知らない人とサッカー繋がりで友達になれることだ。
行きつけのパブにいるイギリス人は気さくで、相手が自分と同じチームを応援しているとわかると話しかけてくることが多い。
現地のサポと話題になることとは
チェルシーファンの僕もパブでしか会わないチェルシー友達が数人いる。チェルシーの試合を見に行くと必ずいるのだ。
そんな彼らとチェルシーについて語ることもしばしばある。
最近の白熱する話題と言えば、コンテの去就についてだ。
悲惨な結果と内容に終わったニューカッスル戦の後、一緒に観ていた6人でこの話題を話した。
それぞれの意見は、2人が留任派、3人がシーズン後に退任派、1人が今すぐ解任派であった。
この話をした後、もっと大多数の意見が聞きいてみたいと思った。
そこで、Twitter上で日本人のチェルシーファンの方にアンケートを取ってみた。
単純に疑問なんですけど、チェルシーファンの人はコンテの去就についてどう思ってるんですか?
もしよかったら理由も聞かせてくれたら嬉しいです。— SHIM (@blue_blue_ss) 2018年5月14日
結果はやはり、退任、解任を含めた新監督を求める声が優勢だ。
しかし1つ気が付くのは、パブでの雑談でもTwitter上のアンケートでも、留任派が少なくない割合でいることだ。
「結果を見たい」を除けば、単純計算で3分の1の人がコンテの残留を望んでいる。
悲惨な内容でニューカッスルに負けCLを逃したにも関わらずだ。
このデータは、これは興味深く感じた。
コンテが残留することのメリットは何だろう。
なぜコンテが適任と話す人が多いのだろう。
コンテが残留するべき理由は何だろう。
ファンは悲観的になりがちで、後任候補の噂が連日飛び交う中、これらが語られることは少ない。
そこで、あえてこの記事はコンテが続投するべき理由、そこから生れるチェルシーへの影響を考える。
コンテの功績が持つ大きな価値
留任後のメリットを話す前に、まずはコンテのチェルシーでの実績に触れなければならない。
このことはコンテを残留するべき理由とつながる。
コンテが残した最大の功績は昨シーズンに成し遂げたリーグ優勝だ。
リーグ13連勝という記録も樹立した、文句のない優勝劇だった。
ON THIS DAY in 2017:
Antonio Conte won the Premier League in his first season in England following Chelsea’s 1-0 away win at West Brom.
If only he could’ve replicated that this season, eh Blues fans? 😂😂😂 pic.twitter.com/yMsDN8K95w
— CaughtOffside (@caughtoffside) 2018年5月12日
アブラモヴィッチ体制15シーズンのうちにチェルシーは数々のタイトルを獲得している。
しかしここで主張したいのは、コンテが成し遂げたリーグ優勝は今までとは異なる価値を持つことだ。
それは、この優勝は「モウリーニョの影響」が少ないタイトル、ということである。
近年の常勝チェルシーの歴史を作ったのはモウリーニョであり、その教え子達だ。
このポルトガル人が2004年にロンドンに降り立って以降、チェルシーは様々なタイトルに恵まれた。
モウリーニョが去り、監督が代わった後も同様だ。
アンチェロッティ、ヒディング、ディマッテオ、ベニテスと数多くの監督がタイトルをもたらしたが、戦力的、精神的に中心にいたのはモウリーニョの教え子達だ。
いわば、チェルシーの土台はモウリーニョによって作られてたとも言える。
From everyone at @ConteBlueArmy we would like to wish Happy birthday to @ChelseaFC ex manager Jose Mourinho who turns 55 today. Still holds a special place in our hearts even though he keeps on having digs at us fans, Conte and our great club. #CFC #KTBFFH 💙 pic.twitter.com/yiwB3kOVkm
— Chelsea FC Fan Club (@ConteBlueArmy) 2018年1月26日
時が経つにつれ、圧倒的な強さでリーグを制覇したモウリーニョ第一期の選手は次々とチームを去った。
一方、モウリーニョ自身はチェルシーに帰還する。
ドログバも復帰した2シーズン目には念願のリーグ制覇を成し遂げた。
しかし、彼の3年目のシーズンは悲惨だった。
一度は愛弟子であるはずのテリーを見限るような態度さえ見せた。
途中解任されるまでの流れは、モウリーニョの時代の終焉を象徴しているかのようだった。
トップ4からも程遠い10位という泥沼の中のクラブにやってきたのがコンテだ。
コンテは、今までとは全く違ったスタイルでチームを優勝へと導いた。
そのピッチの中心には、もはやテリーはいない。
もちろん、この優勝においてテリーの影響を否定する訳ではない。
しかし、無敵だったモウリーニョ第一期を体験していないメンバーが中心となって優勝したことは事実だ。
コンテは1つの時代が終わったクラブにいきなりのタイトルをもたらしたのだ。
モウリーニョという1つの、大きな時代が終わったチームをだ。
この功績の意味は非常に大きい。
過渡期のチームの適任者とは
このコンテの2シーズン目は失敗に終わった。
トップ4を逃した以外にも、不甲斐ない負けが多かったシーズンだ。
ファンからすれば大きく失望させられた。
Apparently Antonio Conte “cannot wait to leave” Chelsea.
That’s what the papers say👇https://t.co/cVhNfm1nTL pic.twitter.com/Rme9tIq0FD
— BBC Sport (@BBCSport) 2018年4月2日
https://platform.twitter.com/widgets.js
この失敗には移行期ならではの要因がある。
テリーがベンチからもいなくなった今、ロッカールームをまとめられる選手はいない。
選手の価値が高騰する移籍市場において、以前のように金満クラブ然と振舞うこともない。
この2つは大きなファクターだ。
2つともチェルシーというクラブでは久しく聞かれなかった問題である。
そこで、考えてみてほしい。
この条件下での監督交代は功を奏すだろうか。
選手にリーダーシップが足りない、補強も積極的に出れないクラブの新監督はうまくいくのだろうか。
もちろんオーナーの財力からすれば、いきなり補強に莫大な予算を投じることは可能だろう。優秀な監督、選手を連れてくるかもしれない。
だが、このチームにはもはや、テリーもランパードもドログバもいない。
今まで何度も功を奏した監督交代という荒治療だが、選手間の核であった“モウリーニョの愛弟子“がないチームでもうまくいくだろうか。
今までとは違って中心が定まっていないクラブを、今までのように新しい監督で刷新するというのは無茶だ。
状況は違うので単純に比較できるものでもないが、ファーガソン退任という1つの時代の幕引きを体験したユナイテッドは、未だに再建途中である。
一人の監督が作り上げたものを、再構築するというのは本当に難しいことなのだ。
重きはチームの成熟
過渡期の不安定なチームを新監督に託すのではなく、今までと同じ方向で成熟を促すのは一つの手だ。特に選手の精神的な成熟は、今後のチェルシーの将来に関わる。
今のチームを一番知っているのはコンテだ。
2年間でうまくいったことも、いかないことも経験した。
しかもそれは財政的にも選手の特質的にも、今までのチェルシーとは異なる中でだ。
もちろん、今シーズンは彼の失敗が目立ったことは事実だ。
消極的な戦い方や遅い交代策は多くの批判を受けた。
会見で自身が決めたスタメンが間違いだったと認めたこともあった。
情熱を失ったようにも見えた。
ただ、期待していた新加入の選手が軒並みコンディション不良という不運もあった。
Even though his had an indifferent season. Rumours are that @juventusfcen want @AlvaroMorata , would you want him to stay or go? #CFC
RT:-Stay
Like:- To leave pic.twitter.com/uElTm84nKZ— Chelsea FC Fan Club (@ConteBlueArmy) 2018年5月12日
しかも彼らは、優勝した前シーズンおいて重要な働きをした選手の後釜に期待されていた選手だ。
選手が抜けた穴を埋めることは到底できず、システムが機能不全に陥ることは多かった。
結果的に見れば、苦戦を強いられるのは仕方がなかったのだ。
しかし、3年目のコンテは、よりチームを成熟できるかもしれない。
選手たちはより成長できるのではないだろうか。
成長というのは、戦術的、そして精神的にだ。
チームを本当の意味でまとめられる選手が不在の中、後者の成長は急務である。
特にコンテ留任なら、期待に応えられなかった新戦力たちは2度目の挑戦で成長できるかもしれない。
彼らのほとんどが、プレミア初挑戦だったことも特筆すべきだ。時間が必要である。
付け加えれば、選手は基本的にコンテのシステムに沿って獲得されていた。
複数の選手は、コンテ以外の監督の戦術に素早く対応できるかが未知数だ。
それにコンテは、年齢を問わず実力のあるユースチームの選手を抜擢するアイデアもある。
トップチームで若手が活躍する姿は、ユース、ローン移籍中の選手に希望を与える。
クラブの育成システムを活性化することに貢献するのだ。
つまり現選手と若手がうまく成長できる環境を整えられるかもしれない。
もちろん、チェルシーにおいてCL権を取れなかった2年前と今シーズンは最悪に近い失敗だ。
だが10位だった2年前と比べて、今シーズンは良かった点も多い。
前半戦のスパーズ、ユナイテッド戦やホームのリバプール戦は可能性を見せた試合だった。
しかも、この試合はシーズンを通しては期待に応えられなかった一部の選手が、軒並みポテンシャルを示した試合でもある。
これが限界なのかと思う反面、まだまだやれると思わせられるシーズンだった。
新しい戦い方を作る努力より、今のまま良い内容の試合を増やす努力をするべきだ。
ここで監督を切るのは、アンチェロッティを切った2010-11シーズンと同じになるかもしれない。彼がどれほど有能であるかは、その後の彼のキャリアで証明されてしまった。
コンテと彼の境遇は非常に似ている。
Apparently, Carlo Ancelotti is keeping tabs on Chelsea for next season!
Would you like King Carlo back at Stamford Bridge? pic.twitter.com/9CIfHve2lb
— Uber Chelsea FC 🏆 (@UberCheIseaFC) 2018年3月28日
財政的にも、総合的な戦力的にも今までと異なる中で、ファンは今までと同じ要求をするべきだろうか。
チーム状況から考えても、来シーズンの監督にとって今のチェルシーをプレミア優勝に導くのは難しいタスクだ。
それなら、コンテに来シーズンもチャンスをあげてもいいかもしれない。
ベストではないかもしれないが、現チームの成長にはベターな選択肢である。
彼は新しいチェルシーの成功と失敗を知る貴重な人材だ。