追い続けて半世紀。私がクリスタルパレスを愛し続ける理由

       
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クリスタルパレスジャパン

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クリスタルパレスの日本人向け公式サポーターズクラブです。現地からの最新情報や試合結果、観戦会のお知らせ等をお届けします!Official supporters club of Crystal Palace for Japanese!!
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プレミアリーグ所属、サウスロンドンに位置するクラブチーム、クリスタルパレスFC。

通称パレスは2013年にプレミアリーグに昇格して以降、6シーズン連続でプレミアリーグに残留を決めている。

だがそれ以前はなかなか日本で日の目を浴びることがなく、今以上に日本のサポーターの数が少なかった。

はじめに

そういった背景にありながらも実にパレスを半世紀以上前から応援し続ける日本人サポーターがいる。1966年に渡英して以来、50年以上クリスタルパレスを応援し続けている河相安彦さんだ。

そんなベテランパレスサポーターである河相さんに、パレスを応援するようになったきっかけから今後のパレスの展望についてまで様々な観点からお話を伺った。

(インタビュー、文責:クリスタルパレスFCジャパン)

パレスを応援するようになったきっかけは?

本日はよろしくお願いします。早速なのですが、河相さんのイギリスに移った理由とパレスを応援するようになったきっかけについて教えていただいてもいいですか?

よろしくお願いします。僕が小学生の頃、父親の仕事の関係で1966年から69年の3年間ロンドンに住むことになったんだけど、そこがたまたまスタジアムの近くで……。一回パレスのフレンドリーマッチを見てからは周りの環境もあって、自然にスタジアムに足を運ぶようになったね。

現地の小学校のクラスメートも休み時間になるとみんなサッカーをやっていたし、もう本当にサッカーが地域に根差してるって感じだったよ。

イギリスはクリケットやテニスなどほかのスポーツも盛んな印象ですけど、本当にサッカー一色だったんですね!

そうだね。でも当時イギリス国内でもパレスはマイナークラブで、僕の周りはチェルシーとかアーセナルを応援している人も多かったよ。

どの当時も既にアーセナルとチェルシーはイギリス国内で強豪(68-69シーズン当時アーセナルは4位、チェルシーは5位)だったからね。(※1)

※編集部注

当時の順位表は以下。

1位:リーズ

2位:リバプール

3位:エバートン

4位:アーセナル

5位:チェルシー

そうだったんですね。

河相さんが子供の頃のセルハーストパーク(パレスのホームスタジアム)の印象はどうでしたか?

とにかくぼろかったね(笑)。

メインスタンドこそ今では改装されたけど、ほとんどの座席が当時は立ち見でね。僕はゴール裏の前の方でずっとチャントを歌ったりしてたよ。

サポーターもみんな親切で、背の低い僕のような子供達を最前列に案内してくれたこともあったね。キーパーが僕の目の前でセービングをしたときはすごい迫力だったし、選手のスピード感にも感動したよ!

劇的だった68―69年プレーオフ決勝

河相さんがロンドンに住んでいた時に見た試合の中で、最も印象に残った試合は何ですか?

やっぱり1部(現在のプレミアリーグ)昇格をかけたリーグ最終節だね。僕が渡英した1966年当時は2部リーグに在籍していたんだけど、僕がイギリスを離れる年になった1968‐69シーズンに1部に昇格したんだよ。たまたまそんな昇格する機会を見ることができたんだ。

それはすごいですね…!

対戦相手とかその時印象に残っていた選手なんか何か覚えてたりしますか?

確かフラムのロンドンダービーだったと思うね。リーグ最終節ということもあったけど、その時の雰囲気がとにかくすごかった。なんせ2-0とビハインドを負った状況から3点取返し、逆転して昇格を決めたからね!昇格が決まってヴィクトリーランを行ったんだけど、選手やファンみんなで汗まみれのユニフォームや靴下、パンツを脱ぎ棄てて狂喜乱舞したんだよ(笑)。

あのときのむき出しの感情を忘れることはできないし、ますます愛着がわいたなあ。

当時はバートヘッドっていう監督で、スター選手はスティーブ・ケンバーという典型的な「10」番タイプの選手だった。ケンバーはその後チェルシーに移籍して、イングランド代表にも選出されるくらい良い選手に成長したし、引退後は降格しそうになると出てくるパレスの名物監督にもなった。今もチームにスタッフとして携わっているんだよね。

もっとも君達の親が生まれたくらいだからなかなか実感がわかないと思うけど(笑)。

そこまでは知りませんでした……。ケンバーは今のホジソンとかアラダイスに通ずるものがありそうですね、「残留請負人」的な意味で!

3,帰国後のパレスとの関わり合いについて

69年に日本に帰国されてからはどのようにパレスの情報を収集していたのですか?

その時はテレビで当たり前にサッカーが見れる時代じゃなかったからね。時々『サッカーマガジン』のイングランドのページとかでちょこちょこ見るくらい。しかも当時の日本はイングランドよりドイツの方が人気だったから殆ど掲載されることはないんだよね。

ファンとしてはとても厳しい状況ですね…。

インターネットが普及し始めるまではそういう状態だったね。時々チームが降格しそうとか財政破綻の危機とかFAカップ決勝に進出したっていうニュースが聞こえてくるくらいで。

あとは今みたいに海外から簡単にものを入手できることもできなかったから動画で選手の状態を見ることなんてほとんどできなかった。大体選手の写真を見れるくらいで、2000年代になってからようやくVHSとかが手に入るようになったね。

その当時、欧州サッカーに関する情報を入手するのがとても困難だったことがよくわかります……。

あ、でも帰国直後の69年に当時の三菱重工がスポンサーになって唯一チェルシーとクリスタルパレスの親善試合を東京でやってたな。でもそれ以降は90分通してパレスの試合を観る機会が減っちゃったね。

あ、でも帰国直後の69年に『三菱ダイヤモンドサッカー』という番組でクリスタルパレスの試合を1度だけ見たことがあったかな。でもそれ以降は90分通してパレスの試合を観る機会がほとんどなかったね。

そんな貴重な試合が日本であったんですね…!

もう1つ2002年の日韓ワールドカップの時にパレスに関係するエピソードがあってね。

その時からちょうどEメールが出始めたんだけど誰かがボランティアでパレスサポーターのためのメーリングリストを運営していてね。イングランド出身のパレスサポーターが日本に来るっていうことで、案内してほしいって頼まれたから現地のサポーターを案内したんだよ。その後お礼をしたいといって僕に90年代のパレスのユニフォームをくれたんだ。嬉しかったな。もう彼らの連絡先がわからないのが残念だよ…。

昔のパレスとの接点はそれくらいかなあ…。

当時にしては相当貴重な経験ですよね…!

本当に貴重だった。だからこそJSPORTSとかDAZNでパレスの試合を日常的に2次元で観れるようになって本当に感激したんだ。 50年前と何ら変わることのないセルハーストパーク、パレスのエンブレムを付けた誇らしげな選手たちを見ることができて嬉しかったね。

50年ぶりなんて僕には到底想像できませんが、まさに感無量といった感じですね!

最近の渡英について

直近でスタジアムに行かれたのはいつ頃ですか?

直近だと2年くらい前だね。68年から行ってなかったから半世紀ぶりくらい。

結構最近ですね!しかし時代のギャップがすごい…。やっぱりスタジアムの様子とかは50年前と比べて変わったものですか?

それがスタジアムは驚くくらい変わってないんだよね。最もこの周辺の街並みはだいぶ変わってしまったけれど。以前は割としゃれた高級住宅街だったんだけど、今は低収入の人達が住む地区になってしまって少し寂れてしまったね。

僕もそれは2年前に行ったとき思いました!普段の街自体の雰囲気は割と暗いんですよね…。

あとちょっと余談だけど「試合を盛り上げる要素」という面ではだいぶ変化したよね。当時は試合前にチアリーダーなんていなかったよ。最初にテレビでチアリーダーを見たときにはびっくりしたね(笑)。

僕からしたらチアリーダーがいないクリスタルパレスは考えられないんですけどね(笑)

試合はどんな試合を観に行ったんですか?

冬に2試合見に行ったよ。まず最初に見に行ったのはエミレーツスタジアムでのアーセナル戦。次にセルハーストパークでのFAカップのスウォンジー戦。

でもどっちも負けちゃって結果的には残念だったね。しかも真冬だったから負けのせいで寒さが余計に際立った気がする(笑)。

アーセナル戦はまだしもスウォンジーに負けるのは……。

ほんとにがっくりしちゃったよね。でもその半年前にも実は妻と一緒にロンドンに旅行していてね。そのときパレスに関するいい思い出ができたんだ。

何ですか?

渡英したタイミングでちょうどスタジアムツアーをやっていたからそれに参加したんだけど私と妻がちょうど結婚30年の記念の年だったから、「私たちの記念日なんだ」ということをメールで事前に伝えたんだよね。

ツアー内容自体はロッカールームを回ったりとかなんだけど、我々のことをわざわざプログラムに乗っけたり、アナウンスしてくれたりしてね。それに加えてツアー中に特別なカードを渡してくれて、選手全員分のサインが書いてあるシャツをもらうことができたんだ!

もっとも妻からしたら嬉しいのか分からないんだけど(笑)。誰が誰のサインであるかわからないから後で1つ1つ照合したんだ。今も2,3個わからないけれどあとは全部判別したよ。

それは最高ですね!素敵な話だ…。

ご家族の中でパレスを応援してる方は河相さん以外にもいらっしゃるんですか?

現地に行ったときは息子も一緒だったんだけど、エミレーツと全然雰囲気が違ってセルハーストパークの方が良いって言ってくれたんだ。サッカーをよく観てるし今季のパレスのユニも買ってるからね。一応親子そろってパレスファンということになるのかな(笑)?

お子さんもサポーターなんですね!ぜひ今度観戦会に遊びに来てください!(笑)

パレスに欲しい選手、日本人は誰?

次に選手補強についてお伺いしたいんですけど、ずばり補強したいポジションはどこですか?

近年はフォワード選びにうまくいってないイメージだね。昔はイアン・ライトやアンディ・ジョンソンがいたし、直近ではブライトンのマレーなんかはいい選手だと思ったけれど…。

マレーの移籍はタイミングが悪かったですよね。。。

ベンテケも得点という意味では貢献できていないからね。チームにフィットするストライカーを探すことが最優先じゃないかな。

でも失点は明らかに少なくなったし、DF陣は本当に良くなってきたと思うよ。2016-17シーズンの途中にママドゥ・サコが入ったけど彼の加入は大きかったね。

10代でPSGのキャプテンを務めていた選手ですからね!パレスに来てくれた時は本当にびっくりしました!

最近出てきたアカデミー出身のワン=ビサカも素晴らしいね。同じ下部組織出身選手という括りで見るとザハなんかはもうレジェンドじゃないかな。

2人とも退団の噂が出ていますが、残ってほしいところではありますよね…。

ちなみに「日本人選手」という括りでいうとどうでしょうか?最近では岡崎慎司や酒井宏樹の名前も挙がっていますが……。

岡崎はなかなか厳しそうだよね。得点をあまりとれていないしベンテケですらなかなか点が取れていない現状を考えるとね……。長友や酒井宏樹の噂はかつてあったよね。それぞれいい選手だとは思うけどワン=ビサカやアーンホルトもいるサイドバックの層を考えると今は必要ないんじゃないかな。

過去には中国人が過去に2人いたし、最近では韓国代表のイ・チョンヨンがいたよね。その流れでいつか日本人が来てくれたらいいよね。個人的には久保君が加入してくれたら最高だよ(笑)。

久保君はロマンあっていいですね!

ちなみに誰か欲しい日本人選手はいるの?

僕は鈴木武蔵ですね。フィジカルを生かしたプレースタイルがピッタリパレスにフィットするんじゃないかと思ってます(笑)。

パレスをずっと応援し続けられる理由、その誇り

最後にパレスをここまで長く応援し続けられる理由とパレスの良い部分について改めて教えてもらってもいいですか?

やっぱり街の真ん中にあるから他のチームとは違った雰囲気を感じるし、本当に地元に密着してきたチームなんだということがわかるよね。財政破綻したときもサポーターの人達がクラブ存続のために色々と活動したとも聞くし。

こんなに長く1部に残留できたのはおそらく初めてなんじゃないかと思うけど、それを抜きにしても「ずっとチームに尽くしていこう」という思いを持ったファンが多いと思うね。

他の日本人パレスファンにも会ったことがなくて、ずっと1人で追い続けてきたけどチームを追うのをやめよう、と思ったことはないよ。それだけこのチームには惹かれるものがあるっていうことだと思うね。

街もスタジアムも本当に地域が一体となって「熱狂」しているんですよね。そこは他のロンドンのチームと比べて大きく異なるところだと僕も思います!

チーム自体の成績も大事ですけど、それ以上に現地の雰囲気は言葉では言い表せないものがありますよね。

願わくばこのままプレミアにずっと残留し続けてほしいね。優勝とは言わないから残留するか否かみたいなハラハラ感を維持できるくらいの位置で。

今のエバートンくらいの立ち位置ですかね?(笑)

そうだね。でもこのクラブには歴史的に負け続けないDNAがあると思う。1970~80年代に財政破綻したときも立てなおしたし、開幕7連敗した昨季も何とか持ちこたえてきているからね。例え降格してもすぐに立て直して戻ってきてくれるはず。

ポゼッションサッカーとか色気づかずに。堅実なサッカーでプレミアリーグにずっと居続けて時々ジャイアントキリングを起こしてくれれば僕は十分だよ。

ずっとトップリーグに居続けられるよう僕たちも日本から頑張って応援しようと思います、河相さん本日はありがとうございました!



【了】

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