課題は”プレスの行方”?エヴァートン不調の原因に迫る

今季はじめも例年のごとく大型補強を遂行し、ビッグ6への対抗馬筆頭候補と目されていたエヴァートン。

前半戦こそまずまずの滑り出しだったが、14節のマージサイド・ダービー以降はパッとしない成績に終わっている。

そんな悩める“トフィーズ”についての考察を、エヴァートンジャパンさんはじめ4人の方々に行ってもらった。





書き手

https://twitter.com/Everton_Japan/status/1095966214944284672

https://twitter.com/EFC1878YFM1972/status/1095807862578675712

ビッグ6は」勝てない ~マージーサイドダービーまで~

リバプール戦までは12試合6勝4分2敗で6位につけていたエバートン。その間、「非ビッグ6」相手には、ウェストハムを除けば無敗とまずまず好調な滑り出しをみせていた。しかし、この好調期間にもビッグ6に勝つことができず(1分2敗)、7〜9位に留まっていた。

ビッグ6に勝てない最大の要因として挙げられるのが、プレッシング時のリスク管理だ。

マルコ・シウバのエバートンのプレッシングは、基本的にSBとCHが高い位置まで上がってスペースを埋め、最終ラインではCB2枚で予防的マンマークを行うというものだ。そのため、後ろでは、数的同数となってマークに付く場面が多く見られる。この状況が『ビッグ6「には」勝てない』という状況を生み出すのだ。

「非ビッグ6」であればプレスを外されることも少なく、CBの後ろを狙われた場合も空中戦に強いマイケル・キーン、クルト・ズマ、ジェリー・ミナがはじき返すことで相手を封じ込めていた。しかし、 ビッグ6を相手にした場合は話が変わってくる。ビッグ6にはプレスをかいくぐり自陣のMF・CB間にパスを通せる選手がいる上に、数的同数な状況を質的有利に持ち込めるワールドクラスのFWがいるのだ(※前線のタレントが豊富なウェストハム相手に敗戦している)。

象徴的な失点として、アーセナル戦の失点シーン、マンチェスター・ユナイテッド戦のPKを与えたシーンが例に挙げられる。

まずアーセナルのシーンを振り返ってみよう。後ろから来たボールに対してズマのクリアは不十分で、アレクサンドル・ラカゼットに奪われるとそのまま決定機となり、失点を許した。結局、CHを越すパスをSBの裏のスペースに落とされ、数的同数(質的には不利)となり、失点を喫したのである。また、マンチェスター・ユナイテッド戦でも同様のネガトラ時に、シェイマス・コールマンの裏のスペースにアントニー・マルシャルが走り込んで数的同数(質的不利)になりPKというシーンがあった。

前半戦、新戦力の爆発と積極的なプレッシングで好調をキープしたエバートン。しかし、プレッシング時にライン間、特にSB裏をクオリティのあるアタッカーに使われると高い確率で失点するという弱点があった。

 

ビッグ6「にも」勝てない ~マージーサイドダービーの後~

ビッグ6にこそ勝てないが、悪くはない成績で12月を迎えたエバートンは意気揚々と第14節のマージーサイドダービーに臨んだ。アンドレ・ゴメスの活躍もあり、リバプール相手に引き分け以上の熱戦を演じたが、セットプレーからディヴォック・オリギの「奇妙な得点」で0-1と悔しい敗戦となった。

ダービー以前は6勝4分3敗だったエバートン。ダービー以降はビッグ6「には」勝てないという状況から、単純に「勝てない」という状況に変化。3勝2分6敗と順位を最低11位まで落とした。

なぜ「非ビッグ6」にも勝てなくなったのか?ピッチ上におけるその答えを求めて、マージーサイド後の失点の原因を調べた。あくまで主観的な分類だが、エバートンの失点を以下のように分類した。

 

――――――

※ミス:敵陣でボールを奪ってのゴール

※ゴラッソ:崩したわけではないが、ミドルや個人技でゴールになったもの

――――――

ミスやセットプレーからの失点も最近は目立つが、注目すべきは崩されての失点もかなり多いことだろう。そもそも崩されることがセットプレーの増加につながっている。原因は一概には言えないが、前線からのプレスのかけ方に問題があるのではないだろうか。

前半戦はしっかりと前からプレスをかけ、引っかけての得点も多かった。その時は、最終ラインではFW3人にDF3人の形を作り、SBやCHも精力的にプレスをかけるなど、全体的にプレスが機能していた。しかし、直近の試合では、相手のボール回しに対するプレスは組織的には行われていないようで、機能不全に陥っているようにも見える。また、敵陣でボールを奪われた際は、ファーストディフェンダーが定まらず、カウンターを喰らうシーンも目立つ(特にゲイエの欠場時)。

 

エバートン後半戦展望

今後の試合日程

今後、エバートンは

第26節から35節にかけてアウェイでの非ビッグ6との対戦

→ホームでのビッグ6との対戦

という奇妙なスケジュールを5回繰り返す。日程は以下の通り。

第28節 カーディフ

第29節 リバプール

第30節 ニューカッスル

第31節 チェルシー

第32節 ウェストハム

第33節 アーセナル

第34節 フラム

第35節 マンチェスター・ユナイテッド

ビッグ6を倒せば勢いよく連勝できる日程だが、現在の戦いぶりをみるとそれも期待できず。リーグ戦の現実的な目標は7位でのフィニッシュだろう。それすらも厳しくなってはいるが…

ポジション争い

現在エバートンではフォーメーションの変更も多く、スタメンも決まり切っていないため、複数のポジションで熾烈な争いが起きている。各ポジションで勃発しているベテランと若手選手の白熱のポジション争いにも注目だ。そして新星の登場はあるのだろうか。

まずは右SB。30歳になったコールマンとアカデミー出身の21歳ジョンジョ・ケニーがスタメンを争っている。加齢によるものか、大ケガの後遺症か、主将も務めるコールマンはプレミアリーグ各チームのトップレベルのウィンガーに圧倒される試合が続き、ここ数試合はケニーにスタメンを譲っている。ケニーも守備に不安があるものの、思い切りのよいビルドアップで試合に貢献している。多くの若手選手を輩出し続けてきたエバートン・アカデミー出身の21歳の覚醒に期待が集まる。

また、右ウイングでもスタメン争いが激しい。昨季途中に加入し残留の救世主となったセオ・ウォルコットはトラップミスなどが目立ち、3ゴールと物足りないパフォーマンス。そこでイングランドU–21代表の中心選手でもあるアデモラ・ルックマンに出番が訪れた。開幕当初は小さな怪我が重なり出番がなかったものの、ピッチに立てば必ず違いを作り、キレのあるドリブルはビッグ6相手にも通用している。守備と決定力を改善できれば、スタメンはもちろんA代表入りもそう遠くはない話だろう。

その他、CFのドミニク・キャルバート=ルーウィン(通称DCL)、CHのトム・デイビスなども頭角を現してきている。冬の移籍市場では一切動かなかったエバートンだけに、後半戦の結果はフレッシュな若手の活躍に掛かっているのではないだろうか。



【了】

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