<ロンドン在住指導者の視点>プレミアで活躍できる日本人のタイプとは?

少し前の試合になりますが、

プレミアリーグ第12節マンチェスターシティ対マンチェスターユナイテッドの一戦は

シティが3-1で勝利を収めましたが、その試合で日本人選手の可能性を見ました。





書き手:末弘健太

イギリス、ロンドンにある高校のサッカーコース運営、指導にあたっている。選手としては大学までプレーしその後指導者の道へ。FA International Coaching Licenceやその他指導者ライセンスを取得。イングランドのプロアカデミーコーチのアシスタントや、Manchester United Soccer Schoolsで通訳として活躍した経験をもつ。ドイツ、スペイン、オランダのようなサッカー列強国で遠征をおこなうなど、ヨーロッパ全体のサッカーにも精通する。

マンチェスター・ダービー雑感

お互いフォーメーションは[4-3-3]でしたが、ユナイテッドはセンターFWのラッシュフォードを残し、それ以外の選手のスタートポジションは守備。

中盤に入ったネマニャ・マティッチ、マルアン・フェライニ、アンデル・エレーラはもちろん、ワイドのアンソニー・マルシャル、ジェシー・リンガードもまずはしっかりと引いて守備をしていました。

対するシティはインサイドハーフの“ダブルシウバ”が高いポジションを取り、隙あらばDFラインとMFラインの間のポケットでボールを受けてリズムを作ります。
さて、今回の試合で注目したのはシティの中盤の選手のクオリティの高さ。

マン・オブ・ザ・マッチに選出されたフェルナンジーニョの守備力&パスさばきは秀逸でしたが、それ以上にインサイドハーフでプレーしたダビド・シウバ、ベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアンのプレースタイルは日本人として色々と勉強になりました。

日本人選手の強みとは

「近い将来、プレミアでも日本人がインサイドハーフとして活躍する日がくるんじゃないか」

日本では、体がしなやかで足元の技術があり運動量もあって止める蹴るがしっかりできる選手は多く育っています。

「ボールを扱う能力だけ見れば日本は世界でもトップクラスの技術力をもっている」

と今ではよく言われるようになりましたが、これは本当だと思います。

私が指導している日本人高校の選手が、プロ・セミプロ選手を毎年輩出するような現地強豪アカデミーに混ざって練習する際も、イングランド人の逆足の拙さ、身のこなしのぎこちなさ(動きの硬さ)等がよく目につきます。

逆にミニゲームやボール回しをやると技術力の高い日本人選手が圧倒的に目立ちます。

では、なぜ高い技術力を持った日本人が世界のトップクラブでプレーできないかというと、理由のひとつとして、求められるプレーが日本と海外では異なることが挙げられます。

日本では技術力が高い選手は中盤、特に真ん中で起用されることが多く、役割としては攻撃がメインのプレーヤーが多いかと思います。

簡単に言えば「中盤=攻撃」となっています。

しかし世界のトップクラブで戦っていく上で、CB、DMF、FWの真ん中のラインは身体的特徴を含めて、全てにおいて高い能力をもっていないと厳しいという現実があります。

特にイングランドの中盤は、守備に安定をもたらしチームのために汗をかける選手でないとなかなか使ってもらえません。

攻撃が持ち味の選手でも、ある程度の守備力がないと監督としては使いづらさを覚えるでしょう。

当たり前かもしれませんが、イングランドを始めトップレベルのリーグでは「中盤=攻撃も守備もできる」となります。

インサイドハーフに求められる役割

そんな中、近年プレミアのチームも[4-4-2]ばかりという状況から変化してきており、[4-3-3]などのシステムを採用するチームも増えてきています。つまりプレミアでもインサイドハーフのポジションが確立されてきました。

インサイドハーフは今までのボランチのポジションとは求められる役割が少し異なり、日本人の特徴をうまく活かせるポジションではないかと思います。

ボールをたくさん受けてチームにリズムをもたらし、時には危険なスペースでボールを受けて決定的な仕事をする、というプレーがインサイドハーフの主な仕事です。

もちろんある程度守備にも関わらなければいけませんが、攻守が切り替わった際にファーストディフェンダーとして素早くプレッシャーを与えることや、コースを限定して後ろの選手が守備をし易くすることが守備での大きな仕事となり、ボールを奪いらなければいけないポジションではありません。

また、サイドや前線の選手のようなスピードや高さがなくてもこなせるポジションです。

インサイドハーフに必要な5要素

①ポケットでボールを引き出せる

②ボールをテンポ良くさばける

③高い技術力

④運動量

⑤決定的な仕事ができる

⑤に関しては磨きをかけていかなければいけませんが、①~④は日本人が比較的得意とする能力です。

元マンチェスター・ユナイテッドの香川慎司選手は①~③の能力で言えば世界トップレベルの能力を持ち合わせた日本人選手だと思います。

ユナイテッドのチーム状況が違えば、大活躍した未来もあったのではないでしょうか。

あとは今回のシティの3点中2点はインサイドハーフが得点しているように、⑤の決定的な仕事ができるという能力が加わってくると、日本人が世界のトップクラブでプレーできる日が近づくのではないでしょうか。

そういう意味では、川崎フロンターレの大島僚太選手のようなタイプがもう少し増えれば、イングランドで活躍する日本人も増えるかなと思います。

こんなことを考えながら今回のマンチェスターダービーを観ていましたが、個人的にはユナイテッドファンなので何とも言えない感じです……悔しい!!



【了】

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