プレミアパブ編集部
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かつてはスタミナと個の強さが重要視されていたサイドバックだが、
マンチェスター・シティーはこのポジションの前にあるスペースを使うことで試合を形作るようだ。
ペップの就任以降、プレミアリーグはこの時を待ち続けていた。
(本記事はガーディアン紙のPep Guardiola’s flying full-backs expose Chelsea’s vulnerabilityを翻訳、加筆、修正しています)
点差以上の内容になったチェルシー対マンチェスター・シティ
これまでにもペップ就任以降のシティーはその片鱗を見せてはいた。
昨シーズンのオールド・トラッフォードでのマンチェスター・ユナイテッドとのダービーマッチが最も良い例だ。
17-18シーズン第7節のチェルシー戦は、初めてペップのシティーがプレミアのビッグクラブに対して、終始一貫してボールを支配した試合である。
ペップの特異なボールポセッション、素早い攻守の切り替え、ボール奪取での粘り強さが光った。
ただ一つ足りなかったとすれば得点差だろう。3点差や4点差になる可能性は十分にあった。
チェルシーは変則的なシステムで試合に臨んだ
アントニオ・コンテはシティーの出方をおおかた予想していたのかもしれない。
いつもの3-4-2-1ではなく、シティ戦の前に行われたチャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリード戦で有効だった3-5-1-1を起用した。
この布陣は後ろへ引き、プレッシャーをゆるくさせ、バカヨコとカンテがサポートしつつ、セスク・ファブレガスのワールドクラスのパスセンスを活用し、打開策を見出す。
それゆえ、モラタが負傷交代した際にバチュアイではなくウィリアンを起用したのは、コンテいわく、「前線に運動量と落ち着きが欲しかった」からである。セスクのパスセンスを最大限いかすために。
昨シーズンのリーグ戦、チェルシーはシティーをカウンターによって2度も沈めたし、今回の試合でもカウンターは十分有効になるはずだった。
弱点を突かれたチェルシー
ただチェルシーの戦術は機能不全を起こした。
3バックのチームの弱点であるウイングバックの後ろにあるスペースを狙われたのだ。
シティの両翼のレロイ・サネとラヒーム・スターリングは終始サイドで高い位置を保つことで、
サイドの深い位置を使った攻撃を仕掛けて、両サイドにプレッシャーをかける。
シティーの両翼が高い位置を保つことで、
後ろのスペースを活用さえれることを恐れたウイングバックのマルコス・アロンソとアスピリクエタの前線へのオーバーラップを制止させた。
変則的なサイドバックが絞る形
加えて、チェルシーはシティの変則的な3バックに困惑した。
普通のチームなら相手のウイングバックが後ろへ引いていれば、サイドバックは前線へオーバーラップする回数が増やす。
ただ、今回の試合のサイドバックのカイル・ウォーカーとファビアン・デルフは、オーバーラップというより、中央に絞っていた形だ。
実質、ウォーカーは3バックの一角のポジションに入り、デルフはボランチの位置でプレーしていた。
シティの4-1-4-1のシステムは、攻撃の場面で3-2-4-1にも見えた。
このサイドバックが絞る動きは最近の攻撃的なサイドバックのトレンドともいえる。
昨シーズンのチャンピオンズリーグでユベントス対モナコで、ダニエル・アウベスが近しい動きをしていたのが記憶に新しい。
サイドバックの役割の変化と効果
いくつかの例外はあるものの、サイドバックはこれまで運動量があり、個で戦える選手がほとんどだった。
ただし、今回のように相手の攻撃を封じ込めており、サイドバックに守備面での負荷がほとんどのない場合は、彼らは目の前にあるスペースを利用し、試合を形作ることが求められるようになりつつある。
サイドバックが中央絞るメリットは、中央でのボール保持が容易になることだ。
特に前半に顕著に表れたが、シティは中央でボールを保持し、チェルシーのウイングバックと両サイドのセンターバックの裏のスペースを虎視眈々と狙い続けた。
チェルシーはこの中央での数的不利に苦しみ、最終的には、このエリアから得点が生まれることとなった。
疲弊しその後すぐ交代になったバカヨコの背後でデ・ブルイネがボールを持つと、ガブリエウ・ジェズスとのワンツーで抜け出し、
ケーヒルを置き去りにした。センターサークル付近までボールを持ち上がり、素早く攻撃のスイッチを入れ、たった3本のパスでネットを揺らした。
この試合はおそらく他のチームの戦術にも影響をもたらすだろう。
シティーのサイドバックを活用した統率されたボールポゼッションへの対策もさることながら、
チェルシーの露呈した弱点、ウイングバックと両サイドのセンターバックのギャップに対してもだ。