プレミアパブ編集部
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首位を走るコンテ率いるチェルシー。
3バックを用い始めてから、本当に強くなりました。
では、あえて、ここでチェルシーの守備戦術の、ストロングポイントとウィークポイントを語ろうと思う。
コンテ・チェルシーのストロングポイント
運動量が豊富というか、無尽蔵というか…。とにかく疲れ知らずでボールを突っついて奪うのを非常に得意とする、小柄なフランス代表MFと、カンテほどではないものの、スタミナが豊富で当たりの強さでボールを奪うセルビア代表MFが、中盤に君臨。
加えて、従来より一人多い3バックが、相手にタイトについて、縦パスを完全にシャットアウトする。そうすることで、中を固めて相手がサイドに展開するように誘導。思惑にはまったら、スプリント能力に秀でたモーゼス、アロンソがインターセプトを狙う。
そして、奪えればそこからカウンター。奪えなかったとしても、中へのパスコースは切り、バックパスを出させてやり直しさせる。
これがチェルシーの基本戦術である。
プレミアリーグ第24節チェルシー対アーセナルの一戦(3-1でホームチームが勝利)では、本来トップ下のエジルがサイドに流れ、左ウイングのイウォビが中に入ってプレーしていたのは、エジルが中でプレーするのを嫌がったからだろう。
中にいても、まともな縦パスがこない。エジルにパスが回らないとリズムがでないが、かといってこのドイツ代表MFが引いてボールを受けると、縦パスを送る相手がおらず悪循環。
妥協案として、エジルはサイドに開いてゲームメイクしつつ、イウォビは両サイドに展開しながらも、中でドリブルで相手をはがす術を模索する。まぁ、そんな意図があったのではないか。
残念ながら、はまらなかったわけだが…。
コンテ・チェルシーのウィークポイント
一方で、チェルシーにも弱点がある。
それは、固めているはずの中を攻略された瞬間だ。
ケーヒルが引きずり出されるパターン
例えば、0-2で敗れた20節のスパーズ戦。
右ウイングバックのウォーカーがボールを持っている際、マティッチとアロンソがはさみにかかるのだが、ケイヒルのポジショニングが悪かった。
本来、中に待ち構えるケイン、アリのマークにつくべきなのだが、フラフラと釣り出されて、ボックス内の赤いゾーンが空く。当然、守備意識の高いカンテはそこが気になりカバーしに向かう。
すると、画面にはうつっていないが、審判後方にいるエリクセンがカンテのマークから逃れ、フリーになる。結果、ウォーカーからエリクセンに左ななめ後ろへの横パスが通る、この瞬間チェルシーの守備戦術は崩された。
フリーでボールを持つエリクセンに対して、カンテはケインへのパスコースを切りながら寄せるものの、寄せきれず。アリがアスピリクエタとモーゼス(画面にうつっていない)の間でジャンプし、ヘッドでとらえた。
アリのシュートシーンだけみると、モーゼスの寄せの甘さが目立つ。それはそれで失点の原因で間違いないのだが、その手前のケーヒルが、よくも悪くもイングランド代表DFで、人についてしまいすぎる傾向があり、それが裏目に出た。失点の遠因は、ケーヒルだ。
何が言いたいかというと、ケーヒルが思わず持ち場を離れ、モーゼスは絞ってクロスに対処しなくてはならない状況にさえすれば、勝機はあるのだ。モーゼスは空中戦が弱いし、その大外も空くのでファーに走りこんでもいい。
そういう意味では、20節で敗戦を喫したアーセナルは、ベジェリンが途中で負傷交代してしまったのが痛かった。ウォルコット&ベジェリンの快速コンビで強引にサイドを突破して、ケーヒルをサイドに引きずり出す。そんなヴェンゲルの絵図が、儚くも崩れたのだ。
ルイスが引きずり出されるパターン
もちろん、ねらい目はケーヒルだけではない。CBの誰かを引きずり出して、チェルシーを4バックの状態にできれば、誰でもいいのだ。
例えば、22節リヴァプール戦では、D・ルイスがフィルミーノに厳しくマークをつくべき場面で、自由にしてしまい、後追いでプレスをかけた。結果、チェルシーは4バック状態の危うい状態で、ブラジル代表FWに中央の高い位置でボールをキープされた。
その後、リヴァプールは多少手数をかけたが、結局、大外の穴を疲れて失点を喫した。つまり、サイドを突破する以外にも、個の力で中央でボールをキープできる選手がいれば、チェルシー攻略は大きく近づく。それは、相手の逆をつくポジショニング能力で、フィジカルの強さでもなんでもいい。
結局、やりたきことはCBを引きずり出す
普通に戦えば、チェルシーの中は固い。
とはいえ、上記のように、チェルシーのCB陣の守備能力は完璧ではない。戦術で、その拙さをカバーしているが、1試合で何度かボロが出る。
そのボロ、つまりCBいかに持ち場から引きずりだす回数を増やす。あるいは、引きずり出した瞬間に確実にしとめるために引きずり出した後のプレーイメージをチームとして共有する。
それが首位チームを攻略する上での、鍵だと言えるだろう。