プレミアパブ編集部
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今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドの堅い守備の要因といえば、キャプテン、ハリー・マグワイアの存在、SBの圧倒的な対人の強さ、中盤のハードワーク、ダビド・デ・ヘアのスーパーセーブと色々出てくるのではないだろうか。
それらはどれも正解で、彼らの存在が「強豪に負けない」堅守のユナイテッドを支えていたと言っても過言ではない。
しかし、こういう話題になるとなぜかヴィクトル・リンデロフの名前が挙がらないことが多いのではないか…と個人的に思う。
書き手
メディア部・I
プレミアパブ会員。メディア部所属。
2ndレグだけ強いアーセナルを応援してはや10年。
令和の間に優勝が見たいです。
ファン・ペルシーとラムジーが好きです。
はじめに
実際、今シーズンほとんどの試合でユナイテッドの最終ラインを守っていたにも関わらず、メディアやファンの間ではエリック・バイリーをスタメンに推す声が少なくない。
リンデロフは元々ポジショニングで勝負するタイプの選手であり、ボールを奪い取る守備が少なくあまり目立つタイプでないことが関係しているのではないだろうか。
また、苦手な空中戦や対人守備での敗北が悪い印象を与えていることは否めない。
そんな不憫なリンデロフのプレーを詳細に観察したところ、目立たないがかなりクレバーなプレー選択をしており、やはり並の選手ではないことがわかった。
そこで今回は、ユナイテッドの他の守備陣に隠れてどうしても評価が低くなりがちなリンデロフの良さを語りたいと思う。
背後を消す深さをとる守備
リンデロフの守備を語る上でまず欠かせないのが、「予測が素晴らしい」ということ。それが顕著だったのが、プレミアリーグ第37節・ウェストハム戦である。
この試合ウェストハムのFWはマイケル・アントニオで、スピードとフィジカルに優れる彼とのマッチアップは非常に分が悪いのではないかと感じていた。
しかし結果的に、空中戦で押し込まれることはあったものの、地上戦ではほとんど優位に立っていた。
彼が優位に立てた要因が「深さをとる守備」がよかったことである。
「深さをとる守備」とはスペースにボールが出そうなときに、先に下がってあらかじめスペースを消しておく守備である。
この守備をする上でのポイントは、早く下がりすぎると最終ラインにギャップができて、オフサイドが取れなくなることであるが、リンデロフは背後にボールが出そうになるとタイミングよく下がり、ことごとくスペースを消していた。
この試合を通してユナイテッドはアントニオにスペースを使われることがほとんどなかったが、リンデロフの守備が効いていたことは間違いなくその要因の一つであった。
ウェストハム戦に限らずリンデロフは先にコースを消して背後を取られないようにするのが非常に上手く、これが1つ目の魅力なのである。
絶え間ないポジション修正
リンデロフが他のCBと比べて決定的に違うのが、首を振って周囲の状況を確認する回数が多い点だ。
例えばクロスへの対応の時は、クロスが上がる直前まで周囲を確認しており、センチ単位で立ち位置を調整していることが多い。
そのためボールウォッチャーになることが少なく、結果的に前を向いた状態でクロスに対応することができている。
クロスをなんとかカットできたとしても、体の向きが悪いととコーナーキックやオウンゴールにつながってしまうこともあるので、細かいポジション修正は非常に重要である。
また、そのポジション修正能力はカバーリングにも活かされており、クロスに対してマグアワイアの背中側に逃げていく選手をリンデロフがケアしている場面が数多くある。
よくあるのが、人数は足りているのにも関わらずスペースに入られて簡単に失点してしまうことであるが、リンデロフの場合ボールの位置に合わせて消さなければいけないスペースを常に把握しているので、カバーリングが巧みである。
彼は絶え間なく首を振っており、それはポジショニングを意識していることの証でもあるのだ。
ちなみに、ディフェンダーが良いポジションを取っている場合、相手のパサーが上手ければそもそもそこにパスを出してこないので、直接奪うことができない。それがポジショニングで勝負するディフェンダーが目立たない要因なのである。
もしリンデロフをみる機会があったら、相手の動き出しに対して事前にどのような対応・準備をしているかも注目してもらいたい。
コーチング
実際にリンデロフがどのようなことを話しているかは分からないが、画面を通して身振り手振りでかなり激しく指示を出しているのはよくわかる。
他の選手に比べてかなりの頻度でコーチングを行なっており、時には自分が1対1で対応している時でも指示を出している。
こればかりは想像の域を出ないが、視野の広さと状況判断が的確なので、ディフェンスの細かいラインコントロールは彼が行なっているのではないかと思われる。
少なくとも、自分のポジションに気を遣いながら、常に味方のポジションも修正しようとしているのは間違いない。コーチング能力もリンデロフの魅力だと言えるだろう。
ドリブルでの持ち上がり
ここまでは守備時の話ばかりだったが、前にスペースがある時に自らドリブルで持ち運ぶことができる点も彼の魅力である。
リンデロフが前に運ぶことで、相手のFWやMFを釣り出し、結果、味方の中盤やSBがフリーになることができるのだ。
また、リーグ終盤戦では、パスを出した後、自ら前線へフリーランニングをするシーンも見られ、攻撃でもチームに貢献できることを証明した。
奪われれば即失点に繋がる最終ラインの選手がドリブルをするのは非常に怖いはずだが、それを躊躇なくできるのは確かな技術があってこそだ。
また、スペースが空いてるどうかの状況判断も優れているため、リンデロフはしっかりボールを持ち運ぶことができるのだ。
守備だけでなく攻撃でもチームに貢献できることは、リンデロフの長所だと言える。
おわりに
リンデロフの素晴らしさを分かっていただけただろうか。
確かに苦手な対人戦で二の足を踏んでしまうことはあるが、それ以上にチームを救うプレーを数多くこなしていることは間違いない。
ディフェンスの選手における花形のプレーと言えばやはりボールを奪うことだろうが、そのプレーは他の選手がコーチングをしていたり、コースを消していたりといったお膳立てをしてくれているからこそ、輝くのだ。
そして現在好調の「赤い悪魔」でその“いぶし銀”の役目をこなしているのは、間違いなくリンデロフだろう。
彼を通して、「DFの良いプレーは目立たないところにもある」ということを知ってもらえた幸いである。
そして、ユナイテッドには今季まだヨーロッパリーグ制覇というミッションが残っている。残りの試合でリンデロフが出場することがあれば、今回紹介したような彼の魅力に注目しながらプレーをじっくり観察してみてほしい。
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