プレミアパブ編集部
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プレミアリーグの来季の様相について考えることは、新型コロナウイルスによる中断期間中の楽しみの一つといえるだろう。
ということでプレミアパブでは、「プレミアへの移籍が噂されるブンデスのスター特集」と題し、
ブンデスリーガにも精通するプレミアパブ会員メンバーが、複数回に分けて来季プレミアへの移籍が報じられているブンデスのスター選手を紹介する。
書き手
メディア部・K
プレミアパブ会員。メディア部所属。
メスト・エジルを見てサッカー好きになった。グーナー歴は3年。プレミアリーグもよく見るが、ブンデスリーガの攻撃的なスタイルに魅了され毎年スカパーと契約中。攻撃的なサッカーを崇拝しており、好きな監督はアーセン・ヴェンゲルとピーター・ボス。
今回はヴェルナー
今回はライプツィヒで得点を量産しているヴェルナーについてまとめていきたい。
ヴェルナーについて調べたところ、若いうちはサイドのの選手として長い間プレーしていたようだ。そして現在はFWとして成功しチェルシー移籍が決定的な存在にまで成長した。
プレースタイル
スピードが武器
ヴェルナーは裏に抜けてボールを呼び込むプレーが多い「スピード特化型FW」でだ。
裏抜けで違いを作るのが特徴である。
また左ハーフスペースでのプレーも好み、そのエリアからスピードを生かして中にカットインしていくパターンが散見された。
とにもかくにも、良さはスピードなのだ。
一方で足は速いがドリブル突破が多いわけではない。ドリブルに緩急がほとんどないからだ。
サイドに流れてからのSBとの1対1では苦戦することは多く、スピードのあるSBが相手だと抜けないからこそ、CBとのマッチアップを狙いプレーしている印象だ。
得点能力
シュートに関してだがある程度ボールを集めれば得点は量産する…はず…。
少しお茶を濁すのには理由がある。
シュートの威力、精度はブンデスでも群を抜いている。ただ、ゴール前の嗅覚があるかと問われれば、迂闊に「あります」とは答えられない。
最終ラインの後方に莫大なスペースのあるブンデスリーガでCBの裏を抜けて点を稼いだシーン、またPKでの得点も多いため、ブンデスと比べるとDFラインの低いプレミアリーグで得点を量産できるかは若干怪しいというのが本音だ。
現にドイツ代表では相手が守備的な作戦を敢行するためかヴェルナーは苦しんでいる。
ナーゲルスマンと変化
スピード系のストライカー、とだけ聞けばよくいる選手なのかもしれないが
今シーズンのヴェルナーは監督がナーゲルスマンに変わり、幾つかの進化が如実に現れるようになった。
1番の変化は崩しに絡む機会が圧倒的に増えたことだろう。ナーゲルスマンによってライプツィヒは従来のロングキック→ゲーゲンプレスのサッカーからポゼッションを取り入れるようになった。
今までは高いポジションでロングボールを待っていたヴェルナーも今年からトップ下のようなプレーを始める。
足元でボールを受け、味方に渡す。
開幕当初はぎごちなく、パスミスも多かったが、シーズン後半戦からはそのプレーも板についてきた印象がある。結果アシスト数もシーズン途中にして昨シーズンの数字を上回っている。
まとめ
① 足は速いがそこまでドリブルに緩急はなく、スペースがない状態でのSBとのドリブル勝負は苦手(オーバメヤンに似てる)
② 得点は量産しているが、他リーグで同じように点が取れるかどうかはまだわからない。
③今シーズンからMF的な動きを始め万能型FWになりつつある
今後の課題
特殊型FWのヴェルナーは当然ながら課題も多い。
ライプツィヒ以外で活躍するためには、2列目を活かす動きやポストプレーを磨く必要があるだろう。
ナーゲルスマンによって改善されつつはあるが、ポストプレーは苦手なようで背負うプレーをほとんどしない。相棒のポウルセン、シックに全てを任せきっている。
また、強引にシュートを打つことも多く、まだまだアシスト能力は改善が必要だ。
ライプツィヒでは許されているが他のビッグクラブではそうはいかないだろう。万能型FWとしてもうワンランク成長することが望まれる。
ヴェルナーと戦術
監督や選手との相性
ヴェルナーのチェルシー移籍は目前だが、筆者的にはヴェルナーはベストな選択したと考えている。
監督は攻守の切り替えと強度を求めるランパードだ。ライプツィヒで長年磨いてきたヴェルナーの攻守の切り替えはすこぶる速い。
自身で得点を狙うだけでなく味方を生かすこともできるエイブラハムとの相性は良く、使い方次第では左WGとしてもプレーできる。
ポストプレーが得意なジルーとの相性も間違いないはず。同じく夏から加入するスルーパスを供給できるチャンスメイカー型の2列目ツィエクとのホットラインも期待できそうだ。
ヴェルナーの適正ポジションと役割
なにより噂されていたリバプールと比べると、成長過程のチームであり、ヴェルナーのための戦術も取り入れてもらえる可能性が高い。
ライプツィヒでは左シャドウ、左サイドハーフ、ウイング、2トップの左など左寄りの攻撃的なポジションなら、「ある条件」さえ整わせてあげればどこでも活躍できてきた。
どういうことか。
どのポジションでも活躍できると言えば聞こえはいいものの、どのポジションでも同じ役割を任されているだけなのだ。
つまりどのポジションでも同じ役割をこなせるためのルールが必要なのだ。
具体的に言うと、ヴェルナーのために左ハーフスペースを空けておかないと彼は活躍できない可能性が高い。
ヴェルナーと共存するための約束事
ヴェルナーのチームメイト(攻撃的な選手)は左ハーフスペースに入ることは原則禁止だ。
走りながらのシュートが得意なヴェルナーは最終的に左ハーフスペースから角度のあるシュートを放つ。このエリアに他の選手がいるとヴェルナーは活躍できる場所がなくなってしまうのだ。
プレミアファンが良く知る共存不可の例でいうと、ユナイテッドでは左ハーフスペースが好きなラッシュフォード・マルシャルとの共存ができていないのと近い。
そういう意味では、成長過程のクラブという意味以外でも、左インサイドハーフがそのエリアを使うシティやバルサ、右ハーフスペースで似たような動きをしているサラーがいるリバプールとは、左右でキャラが被ってしまうため、効果的な選手とは言えない。
ドイツ代表における失敗例
実際の例を出すと、ドイツ代表は左ハーフスペースを崩しのエリアと考え、ロイスやドラクスラー そしてクロースで密集し細かいパス回しを続けいる。その結果ヴェルナーは居場所がなくなり効果の薄い裏抜けを続けながらこぼれ球を待つしかなかった。
2018ロシアW杯は散々な出来であり、現地では「ライプツィヒ専用機」と揶揄されるようになった。来年のユーロ、新天地でもナーゲルスマンの元で学んだ崩しに絡む能力を見せる必要がある。
チェルシーにおけるヴェルナー
幸いなことにチェルシーで、高い位置での左ハーフスペースでの動きを得意とする選手は見当たらない。
ツィエクは右ハーフスペース(少し低い位置)でのチャンスメーク、ジルーも左利きなので、どちらかと言えばピッチの右側による傾向がある。
コバチッチは左寄りでプレーするとしても、低い位置でのプレーになるだろう。
強いていうなら、エイブラハムやマウントは左サイドに流れることもあるが、左サイドでないとプレーできないタイプというわけではない。
いくつかのルール設定さえできれば、問題ないはずだ。
ただもし左サイドの選手として大外に張るようなプレーをさせるならば、間違いなくプリシッチの方が効果的なプレーができる。ヴェルナーを獲得した意味が薄れてしまうだろう。
ランパードには適材適所に配置する采配に期待したい。
最後に
ヴェルナーは特徴がはっきりした選手である。使い方を間違えれば世紀に残る外れ補強となる可能性もあり、逆に上手く扱えば得点王の可能性も充分にある。
そして、チェルシーにはヴェルナーを活躍させることのできる環境が既に揃っており期待してもいいのかもしれない。
ちなみに、オーバメヤンが左WGとして得点を量産していることも、ヴェルナー獲得の後押しになったのかもしれない。彼も今では左ハーフスペースを一任され得点を量産している。
ヴェルナーの今後がより良いものになることを願ってこの文章を終わりにしたい。