“3年目の不振”だけじゃない!モウリーニョとGKにまつわるすごいジンクス知ってる?

       
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プレミアパブ編集部

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現在トッテナムを率いるポルトガル人監督、ジョゼ・モウリーニョといえば、就任1年目はチームを把握し、2年目でピークを迎え、3年目に成績を落とすというジンクスがあることで有名だ。

モウリーニョがプレミアリーグに初上陸してから15年以上が経過しているが、どのチームを率いるときでもこのジンクスは未だ打破できておらず、毎度このサイクルを繰り返している印象である。

しかし今回この記事では「なぜモウリーニョは3年目を迎えると急に低迷してしまうのか」という原因について言及するワケではない。

実はもう一つ、プレミア上陸以降のモウリーニョの監督生活において未だに破られていない「幸運なジンクス」が存在するのだが、それを知っているだろうか。

書き手

メディア部・I

プレミアパブ会員。メディア部所属。

2ndレグだけ強いアーセナルを応援してはや10年。

令和の間に優勝が見たいです。

ファン・ペルシーとラムジーが好きです。

幸運のジンクス、“モウリーニョ×左利きの守護神”

その“幸運のジンクス”とは、「左利きのGKを起用するとリーグ戦を獲れる」というものだ。

むしろ、FCポルトを率いていたとき以外、全てのリーグタイトルは“左利きのGKがレギュラーだったチーム”によってもたらされている。

以下はモウリーニョがこれまでキャリアでリーグタイトルを獲得したシーズンと、そのとき率いていたクラブ、そしてレギュラーだったGKをまとめた表だ。

ちなみに今回は、一つのシーズンにおいて、そのリーグ戦の半数以上の試合に出場したGKを“レギュラー”とみなすことにする

※出場試合数には途中交代、途中出場も含める

※データは全て『transfermarket』を参照

ではここからは、“スペシャル・ワン”のキャリアに沿って一つずつ振り返っていこう。

プレミア初上陸の「第1期・チェルシー時代」

モウリーニョが最初にプレミアリーグで率いたチームは、ご存じ04/05シーズンのチェルシーだ。

そのときはモウリーニョと同じタイミングでチームに加入した左利きのチェコ代表GK、ペトル・チェフがゴールを守ることになる。

このシーズンは1年目から圧倒的な強さを見せ、シーズンを通し総失点数が「15」と抜群の堅守を誇りプレミアリーグを制覇した。さらに勢いそのまま翌シーズンも優勝し、いきなりプレミアリーグ2連覇を達成。「名将」の仲間入りを果たすこととなった。

そして問題の3年目である06/07シーズンは優勝を逃すわけだが、このシーズンは10月にチェフが頭蓋骨陥没骨折の重傷を負い、リーグ戦20試合の出場にとどまっているのだ。残りのリーグ戦は、ともに右利きのイタリア人GKカルロ・クディチーニとポルトガル人GKエンリケ・イラーリオがゴールを守っていた。

3年目を回避したインテル時代

そしてチェルシーを解任されたモウリーニョは08/09シーズンからイタリアのインテル・ミラノを2シーズン率いることになる。

このときも左利きのブラジル代表GKジュリオ・セーザルを擁し、リーグ2連覇とCL制覇を成し遂げている。

ちなみにCLを制覇したのは得意の2年目である。そしてこのときは“魔の3年目”を迎える前にレアル ・マドリーへと旅立った。

白い巨人でもジンクスは続く

2010年、ついにレアル・マドリーの監督に就任したモウリーニョ。このときも左利きのスペイン代表GKイケル・カシージャスとともに仕事をすることになる。

1年目こそリーグ戦のタイトルを逃すが、“勝負の2年目”である11/12シーズンでは、勝ち点を100の大台に乗せて見事リーガ・エスパニョーラ優勝を果たした。

鬼門の3シーズン目である12/13シーズンはやはり主要タイトルを逃したが、このときカシージャスはモウリーニョとの間で確執が発生し(一部ではカシージャスの当時の恋人がクラブの内情を暴露したことが原因と報じられた)、加えて13年1月に負った怪我により長期離脱してしまい、リーグ戦19試合しか出場していない。

そして例によってカシージャス不在時にゴールマウスを守ったのは、右利きのスペイン人GKディエゴ・ロペスだった。

“あのGK”を呼び戻した「第2期・チェルシー時代」

13年6月にレアルを退任したモウリーニョは、チェルシーの監督に就任し、再びプレミアの舞台に舞い戻ってきた。

1年目の13/14シーズンは、かつてともに仕事をしたチェフを正GKに据えて戦うが、主要タイトルを全て逃すことになる。

いよいよ左利きの神通力がなくなったかに思えた2年目は、当時世界最高のGKの仲間入りを果たしつつあったベルギー代表GKティボ・クルトワをアトレティコ・マドリードからレンタルバックで復帰させた。

そう、彼もまた左利きのGKである。

チェフとのハイレベルなポジション争いが予想されたなか迎えた14/15シーズン、モウリーニョは開幕戦のバーンリー戦からクルトワを正守護神として起用。新進気鋭のベルギー人GKもこの期待に応え、復帰1年目から安定した活躍を見せた。

そして得意の「2年目」と「左利きのGK」という最強のカードを揃えたモウリーニョは、リーグのタイトルを奪還することに成功するのだった。

しかし、またしても“3年目の壁”は越えられず。15/16シーズンは開幕から11試合で6敗と絶不調に陥り、途中解任の憂き目にあってしまった。

“ジンクス通り”となってしまったユナイテッド時代

チェルシーを解任されたモウリーニョは16年5月、マンチェスター・ユナイテッドの監督に就任した。

当時も今と変わらず、“赤い悪魔”の絶対的守護神はスペイン代表GKダビド・デ・ヘアだったが、彼は右利きである。

もしここで左利きのGKに替えるようなことがあれば、相当こだわっていたという証明になるが、さすがにそんなことはなく、デ・ヘアとともにシーズンを戦ことになる。

1年目の16/17シーズンは、ヨーロッパリーグとEFLカップ(現・カラバオカップ)の2冠こそ達成するが、プレミアリーグでは得点力不足で勝ちきれない試合が多く、まさかの6位に終わる。ちなみにこのシーズンの“右利きGK”、デ・ヘアのリーグ戦出場試合数は35試合だった。

そして迎えた得意の2年目。このシーズンも正GKをつとめたデ・ヘアはリーグ戦37試合に出場と、前シーズンよりも多く試合に出場するも、とうとうリーグ戦を獲ることが出来なかった。

なんと2004年のプレミア初上陸以降、キャリアで「2年目」「左利きGK」の二つの条件が揃っていたシーズンは全てリーグタイトルを獲得していたモウリーニョだったが、右利きのGKをレギュラーとして起用したユナイテッドでの2年目で初めてそれを逃すこととなったのだ。

そしてまたしても“魔の3年目”でノックアウト。18年12月に不振を理由に途中解任され、赤い悪魔での仕事を終えることとなったのだ。

ただひとつ言及しておきたいのは、デ・ヘア自身は間違いなく世界最高クラスのGKであり、モウリーニョ指揮の下、リーグタイトルが獲れなくとも常に孤軍奮闘の活躍は見せていたということだ。

間違いなく「GKの利き足」と「成績」の正確な因果関係はないだろうが、だからこそ、ここまでくるとなにかしらの「呪い」を疑ってしまうのもやむを得ないといえる。

充電期間を経て就任したスパーズで期待されること

ユナイテッド解任後、約1年間に渡る休養期間(とはいえ解説の仕事などもこなしていたが)を経て、稀代のポルトガル人指揮官が選んだクラブはトッテナム・ホットスパーだった。

19年11月にマウリシオ・ポチェッティーノ監督の後を継ぐ形で監督に就任。ロンドンに“三度目の帰還”を果たした。

そして現在トッテナムの正守護神は、左利きのフランス代表GK、ウーゴ・ロリスである。

そんなロリスは今季、まだモウリーニョが就任する前の第8節ブライトン戦において、ショッキングな形で左肘を脱臼してしまい、長期離脱をしている。今年1月の第24節ノリッジ・シティ戦で復帰を果たすも、今季ここまでリーグ戦は12試合しか出場していない。

どんな形になるかはわからないが、今シーズンのプレミアリーグが無事に終わると仮定すれば、来シーズンはモウリーニョが得意としている“2年目”だ。

33歳という年齢に加えて怪我も増えてきたこともあり、コンディション面の不安もささやかれるが、クラブのキャプテンをつとめるロリスが来季いきなり大幅に出場試合数を減らすとは考えにくい。

つまり、20/21シーズンは「2年目」と「左利きGK」というプレミア上陸後のモウリーニョのキャリアにおいて未だに破られていない最強のカードが揃うことになる。

そして、モウリーニョもそろそろ目に見える結果を残して名声を取り戻したいと躍起になっているはずだ。

以上のことを踏まえて、科学的な根拠は一切ないが、来季のトッテナムはある意味最も注目するべきチームなのかもしれない。

そう思わずにはいられないほど、モウリーニョと“左利きGK”はここまで密接な関係を築いてきたからだ。



【了】

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