メッシと並ぶ記録も?“逆輸入ドリブラー”サンチョが今季みせた進化とは

       
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プレミアパブ編集部

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プレミアリーグの来季の様相について考えることは、新型コロナウイルスによる中断期間中の楽しみの一つといえるだろう。

ということでプレミアパブでは、「プレミアへの移籍が噂されるブンデスのスター特集」と題し、

ブンデスリーガにも精通するプレミアパブ会員メンバーが、複数回に分けて来季プレミアへの移籍が報じられているブンデスのスター選手を紹介する。

書き手

メディア部・K

プレミアパブ会員。メディア部所属。

メスト・エジルを見てサッカー好きになった。グーナー歴は3年。プレミアリーグもよく見るが、ブンデスリーガの攻撃的なスタイルに魅了され毎年スカパーと契約中。攻撃的なサッカーを崇拝しており、好きな監督はアーセン・ヴェンゲルとピーター・ボス。

ジェイドン・サンチョ

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基本情報

生年月日

2000年3月25日(20歳)

身長/体重

180cm/76kg

所属クラブ

ドルトムント

国籍・代表

イングランド代表

利き足

ポジション

両ウイング

移籍が噂されるプレミアのクラブ

マンチェスター・ユナイテッド

プレースタイル

ジェイドン・サンチョのプレースタイルに1番近い選手を挙げるなら、現在のラヒーム・スターリングだろう。

アジリティを生かした細かいタッチのドリブルを武器に、どちらのサイドでも結果を残し、大事な試合での得点・アシストも多い。ポゼッションを主体とするチームで輝いているという点でも近いものがある。

強いていうなら、サンチョはスターリングに比べて重心が低く、地上戦でのデュエルは中々強い。身体の使い方はどことなくアレクシス・サンチェスに似ている。

ブンデス移籍からここまで

もし、プレミアリーグへの移籍が決定したとしても、“上陸”というより、“帰還”というべき自国選手だが、彼はドイツで驚くほどの成長を遂げている。

シティの下部組織時代のプレーを筆者は知らないが、ドルトムントに加入した当初は、目に見える結果を求めすぎていたのか、エゴが強すぎて周りとあまり協調できないドリブラーであった。

「確かに上手いが、その上手さをチームに還元できないドリブラー」

これが当初の印象である。

しかしドルトムント2年目となった18/19シーズンは彼にとって飛躍の年となった。

シーズン終了後のリーグ戦成績は12ゴール14アシスト。アシスト王と、ブンデス公式年間ベストイレブンに輝いた。

この年から、プレー判断の精度が格段に良くなり、ワンタッチで味方にはたくシーンや、ワザと囮になり味方を輝かせるシーンが増えたりと、“チームプレーヤー”として確実に成長した。

その結果、相手もサンチョのプレーを読めなくなり、複数人のDFを置き去りにするドリブルも増えた印象である。

19/20シーズンのサンチョは、相手チームの研究の対象となったのか、ドリブルで剥がすシーンは若干減ってしまった。

昨シーズンまで、相手DFが複数人でサンチョを見ている場合は、積極的にサンチョからボールを奪いにいくことが多かったが、今シーズンは複数人でサンチョを見ていても、ボールを奪いにいかず、ステイしているシーンが多い。

これがサンチョのドリブルが減った主な原因であろう。サンチョ自身もそのようなシーンでは無理をして剥がしにいかない。ドルトムントでは周りにも優れたドリブラーはいるため、味方にボールを預ける場面も散見される。

今シーズンのサンチョの成長した点を挙げるなら、「ゴール前でのプレー」であろう。

ドリブルで相手をかわしてのゴールは昨シーズンと比べて減ったが、得点数・アシスト数は中断前の第25節終了時点で、14ゴール15アシスト。

ゴール数はロベルト・レヴァンドフスキ(25ゴール)、ティモ・ヴェルナー(21ゴール)に次ぐ第3位、アシスト数はトーマス・ミュラー(16アシスト)に次ぐ第2位だ。

そして現段階でリーグ戦で「二桁得点二桁アシスト」を達成している5大リーグの選手はリオネル・メッシとサンチョのみである。

今シーズンはワンタッチでゴールネットを揺らすシーン、狭い距離感でのパス回しに絡み得点に関与するシーンが増えている。狭い局面をスルーやワンツーで崩していくドルトムントと、シティアカデミーで育ったサンチョの相性はすこぶる良い。

ドリブルで相手を剥がせず「今日のサンチョは若干消えてるな」と思った試合でも、後半には得点に絡みチームに勝利をもたらすことも増えた。帳尻を合わせるのが上手くなることは、世界クラスのアタッカーになるための条件の一つだ。

簡単にここまでの成長をまとめると、ドリブル一辺倒だった選手がチームプレーを覚え、その結果効果的なドリブルが増えた。

翌年には研究されるも、ドリブル以外のプレーの精度が増し、攻撃的なプレーならなんでもこなせるオールラウンダーとなり驚異的な数字を残している。こんなところだ。

今後の課題

サンチョに関しては正直にいうと課題・欠点が見当たらない。ここまで述べてこなかったが、守備意識もかなり高い。

3月25日に“ようやく”20歳を迎えたが、この年齢でこの完成度の選手はなかなかいない。現代的なドリブラーといえるだろう。

強いて挙げるなら気性の荒さだろうか。試合中に起こる乱闘の主犯であることも時々ある。

またごく稀にだが、調子が上がらない時に無理をして、“加入当初のサンチョ”が出てきてしまうときもある。メンタル面での成長を期待したいが、なんといってもまだ20歳を迎えたばかりである。精神的にもこれから安定していくだろう。

ただ、遅刻グセやプライベートでの派手な生活に関しては、成長するべき部分はある。

遅刻癖に関しては、今シーズン頭から、サンチョの父親がドイツからイギリスに戻り、サンチョは一人暮らしとなった。その結果の遅刻の可能性はあるが、今後改善していくことが望まれる。

派手な生活に関しては、高級車を乗り回したり、夜の街ではしゃいでいるシーンをよくSNSに投稿しているようだ。

筆者はサッカー選手のプライベートに関しては、ピッチ上で結果を出せば関係ないと考えているが、サンチョのようなバロンドールも視野に入れるべき選手は例外だと考えている。

メディアや全世界のサッカーファンを味方につけ、様々な人々の希望とならなければならない。

実際、サンチョは現地のドルトムントサポーターからプライベートに関してかなりのヘイトを買っている。ドルトムントは工業地帯であり、硬派な人々が多い地域性が関係しているのかもしれない。

まとめ

近い将来の移籍が確実視されているサンチョだが、移籍先は数多でどのチームがリードしているのかも真偽は不明である。

なかでもプレミアへの帰還が有力視されているが、ドイツという国自体に愛着を持っているため、バイエルン・ミュンヘンに移籍する可能性もなくはない。ウスマン・デンベレのコンディション調整に悩むバルセロナが大金をふっかけてくる可能性もある。もちろんレアル・マドリーも黙ってはいないだろう。

このように様々な可能性が残るなかで、プレミアのクラブに来るという前提で話すと、リバプールでは、世界クラスの両翼が健在ならスタメンは難しいため、どちらかが移籍しない限りサンチョは獲得しないだろうが、基本的にどのチームでもレギュラーになれる可能性はある。

ただ、ブンデスで2年連続二桁得点・二桁アシストを記録しているからといって、プレミアでもすぐに同じ数字を求めるのは禁物だ。

ブンデスは他のリーグに比べて得点が入りやすい。どのチームも攻撃的なサッカーを採用しているからだ。その結果、香川真司やヘンリク・ムヒタリアンなどが例に挙げられるように、どの選手も得点・アシスト数が他リーグ在籍時と比べて増える傾向にある。

ただ、ここまで述べたとおり、サンチョが“規格外”の選手であることは事実だ。どのチームでも勝利に貢献してくれるだろう。先述のとおり、バロンドール獲得の可能性もある選手だと筆者は考えている。

最後に、サンチョの将来が素晴らしいものになることを願って、この記事を終わりにしたい。



【了】

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